東京造形大学デザイン学科テキスタイル専攻の名誉教授 大橋 正芳さんが注目する、全国のテキスタイルをはじめとした展示紹介コラムです。「テキスタイル老師ぶらり旅」略して「テキぶら」どうぞお楽しみください。

2018.08.24

ほぐし柄の車でお買い物


これ、車です。でも、ボディがなんとなくやわな感じ・・・そう、布製の車です。

縫いぐるみのようですが、走ります。

先日放送されたNHK Eテレ「デザイン トークス+」のテレビ画面の画像です。テーマは“選「モビリティ」”で、番組紹介には「今回は、デザイナーの根津孝太さんをゲストに迎え、これからの『モビリティ』のデザインを通して、未来の社会を変えていく“移動の新しいカタチ”について探求します!」とありました。

番組で紹介された車は根津孝太さんがプロデュース、デザインした”rimOnO Prototype 01”。2016年に発表された「小さい・軽い・やわらかい」自動車で、最高時速45km、布製二人乗り。
ウレタンを布で包んだボディーは着せ替え可能。

ホイールのエンブレムは刺繍。

タグも付いています。

ステッチも“デザイン”されていて、これは服です。車の服。服を着た車。
もちろん内装も、乗り降りしやすい回転シートも含めても布製。(足元のスペースを獲得するためにペダルのないスクータみたい)

車の内装から外装まで・・・テキスタイルカーの登場。
持ち歩くテキスタイル・・・あ、これは傘でした。走るテキスタイル、乗るテキスタイル・・・ともかく、新しいテキスタイルの世界が到来!!です。
テキスタイルデザーナーの皆さん、これからテキスタイルを目指す皆さん、それから機屋さんもファッションデザイナーも、あたらな仕事を開拓しましょう!!!

柔らかいボディーの自動車は、日本デザインセンターの原研哉さんが「生物と同様に柔らかな表皮を持つ存在」として原さんディレクトの「senseware」2007で発表しています。「senseware」2009では、その進化系として「笑うクルマ」のプロトタイプが提示されていました。柔らかいボディーなので車に“表情”を与えることができる、というわけです。

金属板からテキスタイルへ・・・
原さんは、ポリウレタン弾性繊維の優れた弾性、伸張性と伸張回復性を利用して、車に柔らかな表皮、皮膜を与えました。
根津さんは、防水性のあるテント地を使って、車に服を着せました。
根津さんの”rimOnO Prototype 01”は法的問題をクリアする試験走行へ向かっているとか・・・実用化が近そうです。

フジヤマテキスタイルプロジェクトが10年目を迎えました。
細番手高密度な生地を得意とする産地・・・傘地はゆけそうですね。ほぐし柄の車でお買い物・・・いいですね!!


この記事を書いた人



  • 大橋正芳

    東京造形大学でテキスタイルデザインを学んで4年+卒業とともに大学に残って46年=50年の造形大人生。リタイアしても「こんなの見てきたよ!」をまだまだ続ける老元教師。日本の手仕事を守り、伝える「手仕事フォーラム」の共同代表。

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