富士吉田へUターン!商工会議所・蛭間小都さん 好きなことをしている皆さんを応援したい
山梨ハタオリ産地で活動している素敵な人にインタビュー。
第1弾は、富士吉田商工会議所に2018年の夏から勤務している蛭間小都さんです。
富士北麓地域がご出身の蛭間さんは、大学生のときに東京へ上京し、就職を期に山梨ハタオリ産地へUターンしました。
10年以上も前に山梨の織物製品に魅了され、現在は仕事でも繊維産業に携わっています。
やわらかい言葉やほっこりした笑顔の中に、地元の織物製品を心から楽しむ、産地への「好き!」の気持ちが溢れていました。
地元を出たかった高校時代
高校時代は、とにかく東京へ出たかったという小都さん。
「地方特有のコミュニティの狭さをちょっと窮屈に感じていて。東京に、というか富士吉田の外に出たくて、ひたすら勉強していた高校生時代でした(笑)。でも富士吉田の自然とか都心への近さと田舎のちょうどよさみたいなものは好きだったので、大学時代は都心ではなく多摩地域に住んでいたんですよ」
ヤマナシハタオリトラベルに魅了され
小都さんが大学生活を送っていた10年ほど前は、山梨ハタオリ産地のメンバーがエキュート立川で初のポップアップイベント「ヤマナシハタオリトラベル」を開催した時期でした。蛭間さんは機屋さんたちが自ら店頭に立ち素敵な商品を販売している姿を見て、地元の織物産業の職人や可愛い商品に感銘を受けたそうです。
イベントに行った様子をインスタグラムで投稿していました。
「ちょっと恥ずかしくて恐縮なんですけど…」と言いながら見せてくれた当時の投稿からは、そのときの衝撃が小都さんの言葉で綴られ、それが今でも小都さんの仕事へのエネルギ―になっていることがよくわかりました。
後ろ向きな気持ちで戻ってきた
大学卒業後、就職を期にUターンで地元に戻ってきました。
「でも実は、ポジティブな気持ちで帰ってきたわけではないんですよ」
「就活にあまり向いてなかったのもあって、就活で満員電車に乗って都心の方に行くのもしんどくてすごく落ち込んでしまって。帰り道、ふと見つけた河口湖行きの電車にフラッと乗っちゃったり。これはもう地元で就職した方がいいのかな、なんて思ったんです」
「織物産業に携わるわけではないけれど、とりあえず地元に戻ろうと思って、最初は塾で事務をしていました」
学習塾で3年勤めた蛭間さんですが、立川で見たハタオリトラベルでの体験が常に心に残っていたそう。そんなとき、地元の産業に携わることができる商工会議所の求人を見て、思い切って転職しました。
仕事を通して出会えた地域の魅力
会議所で仕事を始めてから、高校生まで関わっていた人や見ていたものとは別の出会いがあったといいます。
「今は商工会議所を通して繊維産業に携わったり、おもしろい事業者さんと話せたり。高校生の時には考えられませんでした。自分からその場所に行けば、どの地域でも良さや面白さを見つけられたり人と出会えるんだって、今ではそう思います」
最近はそんな経験から、移住やUターンのハードルを下げられるよう自分が何かができたらと思っているそうです。
商工会議所での役割とこれから
さて、商工会議所はどんな機関なのでしょうか。
「新しくお店を始めたり会社をやりたい人、地元の事業者さんのサポートが主な業務です。市内で商売や会社をされている方の意見を吸い上げて、行政などに届ける役割もあるんです」
日々の仕事の中でも小都さんが大切にしていることは、地域のみんなを応援すること。
「長く経営されている企業の方と接する機会は多いですが、地域で活動し始めている個人の方やクリエイターの方ともっと沢山関わりを増やしていきたいな、と思っています。好きなことをしている皆さんを応援できる存在になれたらと思います」
一住民として、地元の商品を楽しむ
蛭間さんは産地のイベントや繊維産業に携わる若手の集まりにも積極的に参加しています。
「みなさんの活動や地元の良い商品を見ると、単純にテンションが上がるんです(笑)。きゅんとくるというか。だから一市民としても、産地の商品をただただ楽しめることが嬉しいです!」
小都さんはご自身の結婚式で、富士吉田の機屋さん・宮下織物の生地で作られたウエディングドレスを着用しました。
「いろいろなサイトを見ていたら、『富士山の麓で作られた生地』って書いてあって。ドレスも自分の好みだったのですぐに連絡しました(笑)」
10年前に再発見した地元の魅力。そのときの感動を今でも胸に、地域の皆さんを優しくやわらかく応援し続ける小都さんはこれからの産地にとってとても心強い存在です。