東京造形大学デザイン学科テキスタイル専攻の名誉教授 大橋 正芳さんが注目する、全国のテキスタイルをはじめとした展示紹介コラムです。「テキスタイル老師ぶらり旅」略して「テキぶら」どうぞお楽しみください。
“テキぶら” はじまりました!!
はじまりました!!「テキスタイル老師 ぶらり旅」
長年勤めた東京造形大学を辞して年金生活高齢者となった私に、教え子たちが寄ってたかって何か書きなさい、と。これはきっとボケ防止のための思いやり、嬉し涙で受けました。タイトルが「テキスタイル老師 ぶらり旅」・・・老は間違いない、師も、そうでした。でも、禅宗の「老師」ような重みはない。そのあたりはご容赦ください。
まずは先週金曜日のぶらり旅をアップします。「ハタ印」ながらテキスタイルばかりではありません。「手仕事フォーラム」という活動を今も続けていますので、そんな話も登場します。これもご容赦ください。
→手仕事フォーラムHP
ではみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
2018年6月15日の金曜日は、駒場からぶらりとギャラリー巡りの旅でした。
星耕硝子 伊藤嘉輝ガラスのうつわ/party
目黒区駒場のギャラリー「party」で秋田でガラスを吹く伊藤嘉輝さんの展示会。手吹きの柔らかさとスッキリとした形の使いやすいガラスをつくる伊藤さんは「手仕事フォーラム」の仲間です。
アンティーク・レース展/渋谷区立松濤美術館
駒場から約1.1kmで渋谷区立松濤美術館。アントワネット、ナポレオン、ヴィクトリア女王・・・のレースの展覧会です。
「富と権力の象徴として流行」したという「超絶技巧」レースの展覧会。細い細い細い糸の細かい細かい細かいレースは16-19世紀が全盛期で、今は「失われてしまった」といいますが、そうりゃそうだ、と思います。
老眼には厳しい展覧会ですが、美術館にルーペが用意されていました!!
器が変われば食卓が変わる!「民藝の器を選ぶ楽しみ、使う楽しみ」/SPBS
松濤から約1kmで“奥渋”神山町、本と編集の総合企業 SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)のショップで焼きものやガラスなどのうつわの展示会。尾山台の手仕事フォーラム直営店「手しごと」のフェアです。
田村陽子 展/sur-murs
奥渋から1km弱で小田急線の代々木八幡駅。駅近くにある額専門店のギャラリーで田村陽子さんの苧麻を編んだ繊細な立体作品展。
ファイバー・アーティストが憧れ、挑み続けてきた自立するテキスタイル・・・小品とはいえ、迫力があります。壁面の「ガクノキオク」と題された額の形の作品がとりわけすてきでした。
代々木八幡宮
駅から300m、車がひっきりなしの山手通りに面して、突然のようにこんもりとした神宿る森。鎌倉時代に遡るという八幡様です。
my cup of tea/CLAYPOT
八幡の森の隣にこれはおしゃれなお店・・・ここは鈴木喬子さんのアトリエ&ギャラリー。今回は喬子さんとお嬢さんとお嬢さんの大学の留学生3人のティーカップ展。個性的です、3人それぞれです。
入り口にアミガサタケ的な喬子さんの傘立てがあり、ご主人、もちろん鈴木マサルさんデザインの傘を立てました。
鈴木マサルの傘/CASE GALLERY
CLAYPOTから山手通りを渡って200mで三角屋根のCASE GALLERY。あ、ギャラリーに雨が降っている!!きれいな雨が!!!・・・そして雨の向こうにおしゃれな傘たち。200mの距離でご夫妻の展覧会。なんとも美しい代々木八幡界隈です。
ギャラリーの全面に雨のシールを貼った見事な展示。雨の模様にはリピートがある!!さすが世界のテキスタイルデザイナー。三角屋根のギャラリーが傘のようだと、誰かが話しています。その傘の下にカラフルな傘が思いの外静かに展示されていて、このギャラリーはスッキリ展示した方がきれいだ、と鈴木さん。教会の空間のようだ、と設計事務所imaの小林さん・・・かっこいい会話でした。
今年で7回目になるという鈴木マサルの傘展。そのはじまりは代々木上原時代のCASE GALLERYでした。今回、場所は変わりましたが出発点となったギャラリーに戻っての展覧会。ギャラリーオーナーの湯川さんと鈴木さん・・・次の企画を話し合っているのかどうなのか?
傘展にふさわしい?小雨が降ったりやんだりの金曜日。最後はすてきな傘展で“テキぶら”が終わりました。