後加工でこんなに変わる!MEET WEAVERS SHOW直前、実験会をしてきました
8月22日・23日、MEET WEAVERS SHOWが開催されます。ファッションブランド限定のBコースでは、織 × 加工の両方を深く掘り下げる二つのSHOWを軸にした新しいバスツアーを開催! 産地の生地アーカイブを一挙にご紹介する「産地展」、生地の風合いを自在に操る、持ち込みウェルカムな加工の実験企画の「産地ラボ」、この2つの企画を2日間に渡り実施します。
meet weavers showの2日目に開催される産地ラボでは、生地や製品に風合いや機能を持たせる、整理加工工場の山梨県織物整理で、塩縮加工・シワ加工・ニードルパンチ加工を実験することができます。
実際、どんな生地を加工したらどんな風合いになるのか、我々ハタ印運営事務局は様々な生地を加工してみました。実験に協力していただいたのは、MEET WEAVERS SHOW当日も実験をしてくださる、山梨県織物整理さんです。
ニードルパンチ加工で生地を掛け合わせる
ニードルパンチ加工とは、ウールと異素材生地を重ね、大量の針でさすことで、生地同士を絡ませてくっつける技術。
剣山を逆さまにしたような機械です。こんなので刺されたら一溜まりもありません。この無数の針で何度も生地同士を絡ませていくことで、ぴったりとウールと異素材生地をくっつけたり、表の生地を裏にうっすら写らせることができます。
ニードルパンチについて詳しい記事はこちら
今回は槙田商店さんのピンク色の生地に、黄色のモコモコとした生地と、紺色の生地をのせ、ニードルパンチ加工をしていきます。
生地を重ね、セットします。かなり厚い生地を乗せても大丈夫だそう。
セット後、機械を動かしていきます。ガタンガタンといいながら、機械の中で針が動き、どんどん生地が剣山の中に吸い込まれていきます。さて、仕上がりはどうなっているのでしょうか?
ピタッとくっついてます!ピンクの生地から、毛が生えているみたいな不思議な感覚になります。裏をめくると…
紺の生地が裏にうっすら出ています!モコモコ生地の色もピンクに写っていますね。
黄色のモコモコした生地は、針に押され、ふわふわとした感触を残しつつ、程よい滑らかさになりました。
蒸絨機でシワ加工
続いては、蒸絨機(じょうじゅうき)と呼ばれる機械で、生地にシワをつける加工を実験します。大きなロールが2つ付いているこの機械は、大きな蒸気アイロンのようなもの。手作業でシワの形を作り、ロールの中に入れ蒸気で蒸すことで、シワを形状記憶させていきます。プリーツ加工はきっちりとした一定幅の形を作りますが、シワ加工は手でシワを作るため、不規則な立体を作れるのが特徴です。
今回、シワ加工をしてくださるのは、シワ加工の大ベテラン、小池さんです。数々の有名ブランドからシワ加工のご指名を受ける、シワのスペシャリストです!
宮下織物さんのカットジャカード生地をシワ加工していきます。
手で素早くギュッとシワを作っている小池さんですが、シワ加工はセンスと経験が問われる難しい作業だそうです。
作ったシワを手で押さえながら、シワを作る作業。実際に家でやってみたところ、かなり難しいです。次のシワを作ろうとしたら、前のシワが崩れる始末…
形を作ったら、機械の中に入れ、蒸していきます。
蒸気で蒸すだけなので、ほんの数分で出来上がります!
予想以上に可愛く仕上がり、みなさん大興奮!このままドレスなどにも使えそうです。
続いては、部分シワ加工の実験です。使用する生地は、宮下織物さんのサテンシャンブレー生地です。角度を変えると青、紫と色が変わるとても綺麗なシャンブレー生地に紐をくくりつけ、シワを作っていきます。
小池さんが細い糸で複雑にくくってくださいました。
蒸絨機で蒸すと、あっという間にシワが作られました。紐をとっていきます。
シャンブレーのツルツルとした生地に渦のようなシワが施され、まるで雪の結晶のようです。
映り方で全然違う色になります。
塩縮加工
塩縮加工は、綿やキュプラ、リネン等のセルロース系の繊維の生地を苛性ソーダにつけ、凸凹を出したり、硬くする特殊加工です。紐などで縛ってつければ、シワをつけることも可能です。
今回は、watanabe textileさんの生地を塩縮加工していきます。生地を、塩縮、シワ塩縮、無塩縮に分けて加工していきます。塩縮加工しない部分にはビニール袋をかぶせ、薬品が入らないようにします。
苛性ソーダはアルカリ性の液体。皮膚に付着したら大変です。
酢酸の液につけ、中和していきます。
塩縮加工はなんと約2時間かかるそうです。
さて完成品ですが、MEET WEAVERS SHOW当日までお楽しみです!
綿の生地だとは思えないほどかなり硬く、ジャケットやコートなどに使えそうな生地に変身しました。「革の代わりに使えるかも?!」という声も。当日ご覧いただけるので、ぜひ触ってみてください!
後加工の可能性は幅広い
ハタ印総合ディレクターの高須賀活良さんは、「日本のハタヤさんは縮小しているのが現状。だからこそ、日本で織られる生地を使い、加工で表現の幅を広げていくことも大切」だと言います。
織り・染色・加工を掛け合わせていくことで、世にない生地を作り出す可能性を広げていけるんですね。
実は、他にも様々な生地で後加工実験をしています。MEET WEAVERS SHOW当日の加工実験でも、どんな新しい生地が生まれるのか楽しみです!
MEET WEAVERS SHOW 2018 産地生地展
【産地生地展】
日時:2018年8月23日(木) 9:00-13:00
場所:山梨県産業技術センター富士技術支援センター
山梨県富士吉田市下吉田 6-16-2
企業:オヤマダ(服地)/おるdeつむde 堀田ふみ(テキスタイルデザイナー)
/株式会社甲斐絹座(ALL)/㈱川栄(服地)/東邦シルク(服地)/舟久保織物(服地・傘地)/フジチギラ(ALL)/Fumi Hotta Design 堀田ふみ(テキスタイルデザイナー)/前田源商店(オーガニックコットン)/槙田商店(服地・傘地)/丸幸(後染め)/宮下織物(服地)/武藤(ストール地)/山崎織物(ネクタイ地・ストール地)/山梨県織物整理(後加工)/渡明織物(服地・裏地)/渡邉織物(服地・裏地)/渡縫織物㈱(服地)
【オープンファクトリー】
日時:2018年8月23日(木) 13:00-17:00
場所:各社 ※商談をご希望の方は事前予約をオススメします
「MEET WEAVERS SHOW」を楽しむコースはこちら
【Aコース】8/23(木)産地生地展&オープンファクトリー
自動車などで産地内移動できる方はこちら
【Bコース】ファッションブランド限定・8/22-23(水・木)一泊二日バスツアー
産地でしっかり生地作りを学びたい・職人と交流したい方はこちら
【Cコース】8/23(木)現地集合・産地生地展&日帰りバスツアー
日帰り希望、産地展のあと工場見学に連れて行って欲しい方はこちら
会場までのアクセスについて
「MEET WEAVERS SHOW 2018 には、どうやって行けばいいの?」
そんな声にお応えして、MEET WEAVERS SHOW 2018 産地生地展会場
そして23日(木)の日帰りバスツアーの出発地である通称シケンジョ
山梨県産業技術センター富士技術支援センターへのアクセス方法をおまとめしました!詳しくはこちら