突撃取材!織物工場インタビュー

後染めだって、さすがのハタオリマチ

丸幸産業株式会社代表取締役社長 堀内茂利さん


1000年以上もの歴史をもつ織物のまち、山梨県富士吉田&西桂(通称:ハタオリマチ)に通って10年近く。すっかりハタオリマチのことに詳しくなり、「ハタオリマチは先染めが代名詞なんだよ!」なんて得意げに話せるほどになったハタ印運営事務局。

そんな我々のもとに「後染めの工場もあるよ」と衝撃の情報が飛び込んできたのは昨年の年末です。先染めが得意分野なはずのハタオリマチで、50年近くの歴史がある後染め加工の工場があるなんて!もうそれは、行くしかないですよね。

丸幸産業株式会社代表取締役社長 堀内茂利さん

ハタオリマチの、隠れた後染め技術

ということで、お邪魔したのはハタオリマチで主に後染め加工をしている工場、丸幸産業株式会社さんです。お話を伺ったのは丸幸産業株式会社代表取締役社長、堀内茂利さんです。初めは糸染めの工場だったそうですが、1970年から後染に移行したそうです。

先染めと後染め

生地になる前の糸を染め、染まった糸を織っていく「先染め」。手間がかかりますが、縦糸と横糸で異なった色の糸を織れるため、色合いが多様で高級感のある生地を織ることができます。ハタオリマチではこの先染めが主流です!一方後染めは、織られた生地や製品を染めていくもの。思い通りの量を思い通りの色に染めることが可能です。

後染めされた生地

丸幸産業さんでは、このような大きな生地はもちろん、帽子やカバンなどの製品、洋服をそのまま染めることもできるそうです!染められるのは、綿・ウール・麻などの天然繊維のみです。「染めてほしいけど、生地の種類がわからない」といった場合は、見極め染料をつけ、天然繊維か調べてくれるそうです。

多様な後染め

「後染めは一色にしか染めることができないのかな?」と考えていましたが、後染めも多様な生地を作ることができるそうです!生地を絞ることで、色をつける場所とつけない場所を分け、カラフルな生地にすることもできます。

柄を残して染めることも可能だそう。

エイジング加工もしている丸幸産業。洋服を染める際、釜の中に大量のゴム製ゴルフボールのようなボールを入れて加工を施すと…

ダメージができるそうです!ゴム製のボールを生地と一緒に回すことで、生地を打ち付け、このようなダメージができるそう。石を入れると生地が破けてしまうため、ゴム製である程度硬さのあるものを使うそうです。

ダメージのついた洋服

ミリタリー好きには心くすぐられるダメージ具合。実際に釜に入れるボールがこちら。年季が入っています。

釜に入れるボール

工場マニアにはにはたまらない?!

今回の取材でハタ印運営局のカメラマンを興奮させたもの、それは丸幸産業さんの工場内!見るもの全てに味が出て、写真集にしたいくらい。後染め工程を体験いただきながら、是非工場を御覧いただきたいです!

色を調べ、調合する

こちらは30年前に購入したという測染器(左)とパソコン(中央)です。当時はなんとウン千万円万したシステム!パンチが効いていますね。

測色器とパソコン

測色器は、その名の通り使う染料を調べてくれる器械。サンプルとなる生地や紙のカラーチップを読み込み、どんな色なのかを数値で出してくれるそうです。

暗号が書かれたパソコン

この暗号を読みとり、染料を調合するそうです!「これがなかったら仕事ができないんです」と堀内さんはおっしゃっていました。メンテナンスをしながら、大切に使っているそうです。

次に案内してくれたのは、染料を調合する場所です。

ビンの形、色、染料がついた台、ビーカーが醸し出す雰囲気がいい感じですね。ビーカーで色の調合をしていくそうです。

工場を支える、現役の機械たち

丸幸産業には、年季の入った機械が稼働していました。まずは、染色をする釜、ワッシャーです。ワッシャーが中でぐるぐると回ることによって、生地が染められていきます。800mまでの布を染められるそうです!ウールなどの素材は、ワッシャーでかき回すと縮んでしまうため、「パドル」と呼ばれる機械で染めていきます。

生地や製品を入れ、染める機械

個人的に、下の機械がツボでした。赤・青・水色・黄色のカラフルなボタンがなんとも可愛いくないですか?

さりげなくかかっているじょうろもノスタルジック。

近未来な器械もありました。この長い筒は、なんと裏返しにくいニットを裏返す器械!管から強風を当て、一気に裏返してくれるそうですよ。

ニットなどを裏返す器械

製品も染められる後染め

パリコレ用のサンプルから、古着の染め、脱色、手染めまでやっている丸幸産業。「ヨーロッパで買い付けてきた古着を全部黒に染めてほしい」といった依頼もあるんだとか。

カラフルなTシャツにもできます

個人の依頼も、製品一着から受け入れている丸幸産業。色の調合をしなくても、既存の染料を使うことも可能だそうです。ハタ印運営事務局もデニムを染めてもらいました!

染めていただく前のデニム

生地も製品も、一点ものが作れるのが魅力の丸幸産業。デザイナーさん、古着屋さんからの直接依頼も大歓迎です。是非、「ハタ印のWEBを見た」とお電話で問い合わせてみてくださいね。

丸幸産業株式会社
〒403-0001
山梨県富士吉田市上暮地2222-1
TEL:0555-23-5562
FAX:0555-23-5426

Tシャツ1枚¥300〜¥1000
綿生地 最低ロット¥14,000/8kg
製品染め ひと釜¥14,000〜

 


この記事を書いた人



  • 文 森口 理緒

    富士吉田市の地域おこし協力隊で3年間機屋さんや準備工程の職人さんと繋がり、現在は機屋さんの魅力を伝えたり生地を提案するコーディネーターを目指して活動中!

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