【レポート】Textile Museum オランダ テキスタイルミュージアム 探訪【前編】
2022年の9月にオランダのアムステルダムで開催されたmono japan に山梨ハタオリ産地の各社が出店しました。その際、世界的に有名なこのテキスタイルミュージアムをぜひ訪れたい!ということで行ってまいりました。その時のレポートになります。いざ、突撃!
オランダのテキスタイルの歴史と現在の技術を紹介するテキスタイルの博物館
オランダといえば、中世以降ウールの織物産地であった歴史があります。しかし、1960年代になるとこの産地は衰退し、テキスタイルミュージアムのある、アムステルダムから車で1時間ちょっとの郊外にあるティルブルフ(Tilburg)のモマス(Mommers)家も例外ではなく、ウールブランケット工場を営みながら、産地郷土資料館に姿を変えていき、現在のテキスタイルミュージアムになったそうです。
テキスタイルミュージアムは、織物の技術や歴史の保存、展示、製作、そしてショップ機能まで揃う世界的に見ても珍しい博物館。
ティルブルフ駅から閑静な住宅地をしばらく歩くと、突然現れる立派な煉瓦造りの建物。圧巻です。
ミュージアムは、当時の煉瓦造りの建物と、新しく増築されたガラスの建物と、そのコントラストがなんとも美しい作りの建物になっています。
敷地の中心には煙突も残っています。当時、石炭を炊いて動力にしていたのでしょうか。
エントランスです。染色の展示や、ウールのブランケット工場の展示が同時開催されています。
エントランスには、紐で出来たインテリアが目を引くカフェも併設。ここは後ほどゆっくりご紹介します。
広大な敷地に展示ルームや、ミーティングルーム、テキスタイルラボ、スタジオ、ショップなど充実。ライブラリーもありました!
あらゆるところにテキスタイルが…。鍵がかかったコンテナもよく見ると、ジャカードです。可愛すぎて売ってほしいです。
ここは無人のワークショップスペース、毛糸のボンボン作りができるそう。糸の色もカラフルでさすがのハイセンス。
動画閲覧コーナー。なんと、このモニターの周りもフェルト出来ています。こういうとこだよなあ〜と感心①。
まずはこのウールブランケット工場の機械の展示です。ハタオリマチではお目にかかれない機械ばかりでワクワク。
そして、そのキャプションがとにかく素晴らしい。木の板にレーザーで印字。こういうとこだよなあ〜と感心②
文字のレーザー印字だけじゃなく、この人差し指を指している手のイラストもレーザー。痺れます。
そして、板をめくるジョイント部分が皮というこだわり。こういうとこだよなあ〜と感心③
機械は動いていなかったのですが、当時の工場の動力がわかる滑車は動いており、当時の情景が思い浮かびます。
ハタオリマチの情報発信を行う身として表現方法が勉強になることばかり。
オランダ語が全く読めなくて残念ですが、このイラストのおかげでなんとなくわかります。
歴史を感じるシャットル織機やジャカード織機
ウールのシャットル織機も展示されていました。こういった織機はハタオリマチだと、テンジンさんや舟久保織物さんで見ることができます。(タテ糸の素材や機械の大きさなどは違います)
お、これはジャカード織機ですね!博物館に展示されるものが、ハタオリマチでは現役で稼働しているって感動的です。
これは経糸の整経機ですね。
これは、リボンを織る織機ですね。木製で、こんなに古いものは初めて見ました。カッコいいです。
もしかして、この時はたまたま動いてなかったけど、稼働することもあるのかしら…?見たかったです。
こちらではタフティングを実演していました。アーティストの独創的な作品の制作途中を見ることができるなんて!素晴らしい場所です。
色糸もこれの倍以上の色数が揃っています。こんな歴史あるスタジオで作ることができるなんて羨ましい。
見たこともないような装飾的な細幅の織物が手織り機にかかっていました。民族衣装に遇らうような様子。
こちらもかなり古い手織り機ですね。
ここは組紐のコーナーです。どの機械にも途中の作品がかかっているのですが、全てが彩り豊か。この色彩感覚はさすがオランダです!!
馬の毛が織り込まれているそう。ヨコ糸なのにタテ髪ですね!
この日は見ることが出来ませんでしたが、タフティングや組紐は、現役でスタジオとして稼働しているようです。
織物の可能性を生み出すラボ
歴史的な機械を見た後は、このミュージアムの目玉!テキスタイルラボと、スタジオの見学です。
スタジオには、このラボで作られた、アーティストによるテキスタイルがたくさん展示されています。実際に触れることも出来て、個性豊かなテキスタイルがたくさん。何に使われるかわからない、けれど、そんなことはどうだって良い!と思ってしまう程に楽しいテキスタイルばかりです。
大きいジャカード作品にはそれぞれキャプションがついており、なんと活版印刷。こういうとこだよなあ〜と感心④
技術力ももちろんですが、こんなテキスタイルが作りたい!というエネルギーがスタジオ全体から溢れていて、テキスタイルの可能性を改めて感じることが出来ました。
織物工場ならではの天井の高い、三角屋根から降り注ぐ光が美しく、とても良い時間が流れていました。
ここまでが前半です。感心することばかりで、もうこの時点で満腹状態!ですが、この後まだまだこのミュージアムの魅力を堪能できるとは、、この続きは後半へ!