2023.04.27

【レポート】Textile Museum オランダ テキスタイルミュージアム 探訪【後編】


前半ではテキスタイルミュージアムの概要、常設展コーナー、数々のテキスタイル作品があるスタジオをご紹介させていただきました。後半はラボや当時開催されていた展示、素敵なカフェやライブラリーなどをご紹介していきたいと思います。

普通のミュージアムと違うところは、ここにはラボ機能があるということ。現役で職人さんたちがこのテキスタイルミュージアムで働き、最新機種を備えた工場としての実働を伴っています。

もちろん見学もできますが、仕事中の機械は近くでは見ることが出来ないという徹底ぶり。

働き手は、高齢な男性が多く、かつて織物を生業として生活していた方たちなのかな?と思いました。

このラボには、企画開発室から紡績、糸染め、撚糸、刺繍機、織機、横編み、丸編み、簡易洗い場、縫製が施設内にあり、全て行える設備が揃っており、様々なクリエイターが行き来していました。

テキスタイルデザインをしたいファッションデザイナーさんや、繊維以外を扱うアーティストさんなんかも、ここに来ればスペシャリストの職人さんがいるから、不可能なことも可能になってしまうのではないか!とクリエイション心を擽る場所になっていると感じました。

皆さん和やかなムードの中働いています。とても良い環境。

工場の天井、白く塗装するの良いですね!播州にあるtamaki niimeさんの工場を思い出しました。

ニッティングマシーンも設備。

各ジャンルごとのサインデザインも秀逸で、よく見ると、織物は、織られている模様のグラフィック、編物は編まれている模様のグラフィック、と思わず真似したくなるわかりやすさ!

インテリアも細かいところまで配慮が行き届き、ただただ羨ましいと感じながら、一体どうやって運営しているんだろうと疑問も湧いてきました。

 

く、靴下のインスタレーション…?

運営について調べてみると、ここではボランティアを含む288人前後の人々が働いていて、予算は年間8億3千万円、3分の2が公的資金、3分の1が入館料などの売上で賄われているとのこと。来館者は昨年約8万人。莫大な予算がかけられていると思いましたが納得。それを実現できるオランダは本当にすごいです…ブラボーです。

ここからは当時開催していた展示。天然染料の展示のようです。

全てオランダ語での展示、悔しいがな、全く読めません。ですが感覚を研ぎ澄まされていく展示方法で、ゆっくり見入ってしまいました。ここでも什器などのこだわりが大変勉強になり、写真をたくさん撮影したのでここに残します。

香りを嗅ぐコーナーもありました。面白い!

 

テイスティングのコーナーも!?

織物の反物を使った表現。これは織物産地としてはぜひ取り入れたい展示方法です。

施設の至る所に素敵なテキスタイル 。可愛くてカラフルで、この感性、日本のミュージアムにも欲しいです。

ここは当時のスチームエンジンの心臓部分。

蒸気機関車レベルのパワーで工場を動かすんですね。圧巻!

メモリのディティールも残っていて、状態を残すということの大事さにも気づきます。

 

そしてここはショップ。実際このラボで織られたオリジナルのテキスタイルの商品がたくさん並んでいました。それ以外にも、テキスタイルにまつわる見たことのないようなブックや、染色キットなども扱いがありました。私たちはブックをたくさん物色しました。

スタッフの人たちも、テキスタイルデザイナーや、アーティストの肩書きを持っている方たちも多いそう。太陽が燦々と降り注ぎ、みんなリラックスして談話していました。なんて素敵な光景なのでしょう。

そしてここは併設しているカフェ。

インテリアも抜群に可愛いし、訪れるお客さんもみんなオシャレで、肌触りが良さそうで、色とりどりな生地の服を纏っています。
 

メニューが立てかけてあるのは、なんと糸巻き。心踊ります。

そして、正直味はそんなに期待していなかったのですが、どのレストランよりも美味しかったです。特にこの上に乗っているヤギのチーズ!あの味が忘れられません。

途中から始まったマダムたちの商談の様子。絵になりますね。

  

カフェでお腹が満たされたあと、他の施設も巡回してみました。ガラス張りの建物から見る旧工場の建物。当時、産業が栄えていた時代を思いながら眺めます。

最上階にも展示スペースが。アカデミックな展示かな?

 

その他にもかなり贅沢な会議や発表スペースも。プレゼンも会議も好転しそうな場所ですね。

よく見ると、ブラインドも生地でできていました。恐れ入りました…

ここはオープニングパーティーなど開催できそうな天井を抜いたお部屋。煉瓦の壁との相性が良いですね。

この日は平日にも関わらず、さまざまな人が行き交っていました。

ここも最後に見つけた、かなり大きめの展示会場。アーティストの作品ができるまでのプロセスや、インタビューをまとめた展示です。フジヤマテキスタイルプロジェクトのような雰囲気。

ふと、上を見上げると、ダクトをフェルトで綺麗に覆っています。もう、すごくないですか、、、?

作品を作る工程で生まれる、こういうテクスチャーがとても美しかったりする。そんなことを体感できる展示でした。

そして、最後にライブラリーコーナーへ。ここは要予約制です。

世界中のテキスタイルにまつわる本があります。もちろん日本の本も多数!

ここだけで1日(いや、もっと…)必要です。個人的には生地で製本してある、当時の織物の教育本など多数あり、大変参考になりました。

本ももちろんのこと、素材ごとにまとめた、この引き出し式展示方法も秀逸。

とにかく全部開けたくなる!!

こういったものはハタオリマチに作っても面白そうですね!アイデアの宝庫です。

立ち入り禁止ですが、今まさに進めている作品作りが間近で見ることが出来ます。

 

司書の方がセレクトした本の数々。これらはショップで買えるものが多かったです。痒いところに手が届いています。

「ここで働かせてください!」
      
いかがだったでしょうか。この興奮さめやらぬ、想いが溢れた感じになってしまいましたが、とにかく吸収することが多く、パンク状態で帰りの電車の記憶がありません。歴史を伝承するミュージアムと、現在進行中のラボの共存こそ、私たちがハタオリマチでこれから担うべき形のあり方だと、目指すべき姿を発見することができ、大満足の見学会となりました。


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