2017.12.19

ベンベルグ先染織物研修開催!


富士吉田でベンベルグ先染織物研修開催!


LOISIR」(ロワジール)というブランド名で、裏地などの企画・生産・販売を行う株式会社エルトップさんが、産地をめぐる見学ツアー「富士吉田産地ベンベルグ先染織物研修」を開催しています。エルトップさんの取引先にあたるアパレルブランドの方々を対象としたこのバスツアーでは、稀少なキュプラの先染め糸が裏地になって行く工程をじっくり見学することができます!

この見学ツアーはなんと、30回以上も開催されているんです!そして、12月15日には32回目が開催されました。東京から近く日帰りで行ける上、1つの産地に様々な工程が凝縮している特徴を兼ね備えた富士吉田だからこそできる見学ツアーなんです。

見学ツアーの雰囲気をご紹介

見学ツアーの大まかな行程はこちら!撚糸、染色、整経、製織、整理加工を順に回っていきます。繊維から糸へ、糸から生地へなっていく工程を全部見ることのできる、大変珍しいバスツアーなんです。今回は、過去のバスツアーの様子を少しご紹介します。初めは撚糸を行う撚糸屋さんへ。

キュプラの柔らかさは一目瞭然

このツアーのタイトルにもある「ベンベルグ」という名前は、旭化成が生産するキュプラ糸の商標です。 キュプラ糸は、イタリアと日本の一部でしか作ることのできない貴重な糸だそうで、上の「コットンリンター」と呼ばれる繊維からできています。細い繊維ながらも、保温性に優れているキュプラは、裏地に最適。綿実・ポリエステルチップと比べて見ても、柔らかさが伝わってきます。そしてコットンリンターは、化学繊維ではなく天然素材!地球にも優しい繊維です。詳しくはこちらをご覧ください。

とても細いキュプラの原糸に撚りをかけるのが撚糸屋さんです。目視だと見逃してしまうほど細いキュプラ一本一本に、撚りをかけるのは繊細な作業です。工場の中には、無数のボビンがくるくると回っています。

撚りをかけた糸がこちら。

撚られた糸の表面は、ツヤツヤしています。この撚糸によって、糸は染色や織りの加工、そして着用時の刺激にも耐えられるようになります。撚糸屋さんで真っ白な糸を見た後は、それを染める工場へ。

富士吉田の代名詞「先染め」

ツアーでは、株式会社富士セイセンさんにお邪魔します。富士吉田が得意とする「先染め」。その名の通り、糸を染めてから生地にします。織られた生地を染めることを「後染め」と言います。

富士セイセンさんでは、「チーズ染色」と、「かせ染色」の2通りの染め方を見学させてもらいます。今回はその1つ、「チーズ染色」をご紹介。

まさに、チーズのかたまりのような糸がびっしり。色はまるでクリームチーズのようです。これを染色機に入れ、染めていきます。機械から出て来る頃には糸に色が付いています。チーズ染色はタンクの中で行われますが、一方「かせ染色」の場合は染まっていく工程を外から見ることができます。

次に向かうのは、染めたタテ糸をおまきに巻く整経工程をしている小泉玄策さん。経糸の整経は、織物のなかでも核となるような工程なんです!その分、高度な技術を必要とします。

何百本もの糸を数十回くりかえし巻きとっていき、必要な生地の幅にしていきます。 糸の密度が高いので、何百本あっても少しの幅にしかなりません。 繊細な糸は張力の加減にも気を配らないといけないため、扱うのも大変。

いよいよ糸から生地へ

様々な工程を経て、ようやく織機が登場します。お邪魔するのはハタヤの渡辺幸治さん。ガッシャンガッシャンというたびに、整然と並べられた糸が生地になっていきます。

バスツアーの定員は14名。 少人数で回るため、極細の糸や機械をこんなに間近で見ることができます。鮮やかな糸が生地になっていく瞬間に、みなさん目が釘付け。タテ糸とヨコ糸が織られる様子はついつい見入ってしまいます。

ジャガード織機の仕組みも、丁寧に説明してくださる渡辺幸治さん。紋紙を使った織機は現役です。

織って「終わり!」ではありません

生地が織られたら、最後の仕上げ、「整理加工」へ。先ほど染色を見せていただいた株式会社富士セイセンさんに戻ります。富士セイセンさんでは、生地の汚れやシワをとったり、さまざまな用途に必要とされる加工(撥水・防炎など)を施します。生地の風合いを出すのも、整理加工の技術にかかっています!

撚糸から整理加工まで、 工場を回りながら生地が出来上がっていく工程も知ることのできるツアーが、この「富士吉田産地ベンベルグ先染織物研修会」です。普段はなかなか見ることのできない、まだ「糸」のままの工程を知ることができるのも魅力の1つ。「この服も、あらゆる人の技術に支えられながら、一本の糸からできている」ということに気づかせてくれます。

あらゆる「近さ」が魅力の見学ツアー

東京からほど近い富士吉田の産地。その産地の中に、あらゆる工程が詰まっているからこそ、1日で回ることができます。そして、参加者と工場のキョリはもちろん、参加者同士のキョリも近いのが魅力の1つ。見学ツアーを通して、アパレル業界の繋がりも生み出していきましょう!


最後に新倉山浅間公園・忠霊塔で記念撮影をパチリ。
忠霊塔は「JAPAN」と画像検索すると一番最初にで出てくる
富士山・五重塔・桜が一望できる日本一の景色です!

次回のツアーは、みなさんからの希望のお声が集まり次第開催するそうです。
是非、エルトップさんまでお問い合わせくださいね。

「富士吉田産地ベンベルグ先染織物研修会」

㈱エルトップ
*募集要項:不定期にて 参加希望者がまとまった時点で実行します
*日程 2017年12月15日(金)午前8:30新宿出発、午後7:00新宿解散
 マイクロバスで新宿から産地企業を巡り、新宿に戻ります
*主催者 株式会社エルトップ
*定員:14名(定員になりました)
*参加費:無料
*参加:込株式会社エルトップ 斉藤さんまで[ j-saito@l-top.co.jp]
*問合先 株式会社エルトップ 斉藤さん
 [ 電話 03-5836-5200 FAX 03-5836-5300 mail j-saito@l-top.co.jp]

写真提供:山梨県産業技術センター富士技術支援センター

 


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富士吉田市・西桂町までのアクセス

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    新宿駅-(JR中央本線1時間40分、特急60分)-大月駅-(富士急行線35分)-「三つ峠駅」

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    東京-(東名高速道路90分)-御殿場IC-(国道138号山中湖方面20分)須走IC(東富士五湖道路25分)-富士吉田IC
    西桂町へ
    東京-(中央自動車道80分)-都留IC-国道139号線富士吉田方面20分