山梨ハタオリ産地の関係性を一挙大公開!
ここ数年、1,000年以上もの長い長い歴史を持つ山梨ハタオリ産地(富士吉田市・西桂町)の個性が、何かと大爆発しています。ハタヤさんがおしゃれな自社ブランドを展開し、ハタオリマチフェスティバルでは毎年多くの人が産地に足を運んでくださり…とりあえず、「生地を織っています!」という一言では、この産地を語りきれないことは、もうご存知かと思いますが…
起爆剤は一体何だろう?
実はこれ、意外と知られていません。
山梨ハタオリ産地に関わるたくさんのサポートメンバーが、本当に色々なことをされていて今日の山梨ハタオリ産地ができているわけですが、その「色々」が複雑に絡まって、もう何が何だかわからない!という声もちらほら。
ということで、織った生地の糸を一本一本解くように、山梨ハタオリ産地を作り上げるサポートメンバーや組織を1つ1つ分解しながら、改めて産地を構成するメンバーを見ていきます。 「なんで織物産地でこんなに面白いことが起こってるの?!」「聞きたいことがあるけど、どこに連絡すればいいの?」と気になっている方、「結局、山梨ハタオリ産地って何?」とツッコミたくて仕方ない方、ぜひお付き合いください。
産地の疑問はまずここに!ハタオリマチ案内所
ハタオリマチ案内所(山梨県絹人繊織物工業組合・富士吉田織物協同組合)、通称オリキョー。ハタヤさん同士のネットワークを担っている、いわば産地の本部です。2018年5月1日に富士急行線の富士山駅(旧富士吉田市観光案内所)に移転し「ハタオリマチ案内所」として山梨ハタオリ産地の生地や情報に触れられる拠点となりました。富士山駅Qスタ内で山梨ハタオリ産地の商品を販売している「mill shop(ミルショップ)」のすぐ近くです。詳しくは、こちらの記事をご覧ください!
「mill shop(ミルショップ)」は、山梨ハタオリ産地で作られた、おしゃれで可愛くてハイセンスな商品が、ズラッと並ぶお店です。富士吉田に観光に訪れた際には、絶対に立ち寄っていただきたいお店です!
そんなオリキョーの職員は、個性的な人たちばかり。現在は、地域おこし協力隊のメンバー2人が、オリキョーで勤務しています。まずご紹介するのは、 今年地域おこし協力隊としてオリキョーに入った藤枝大裕さん。(※2018年度勤務)
藤枝さんは、山梨ハタオリ産地で毎年開催される一大イベント、ハタオリマチフェスティバルの工場祭エリアを担当されています。服飾専門学校を卒業し、撚糸メーカーに入社後、テキスタイル女子の心を射止めた繊維業界の誰もが知る布のイベントやお店を立ち上げました。イベント・メディアの編集に携わられた経験を活かし、テキスタイル・ファッション・手芸にまつわるもの・ことの魅力を伝える活動“装いの庭”を展開しながら、産地をよりクリエイティブな都市にしていくための活動をされています。
続いては、「流しの洋裁人」として、全国行脚しながら服を仕立てる原田陽子さん。(※2018・2019年度勤務)
サンプルを海外の工場に送ったら、3週間で商品が上がってくるファストファッションの企画製造卸会社の企画営業の経験や、大学・短大の衣服制作実習を助手としてサポートしていた時に「今、みんながしてるのと同じように、世界のどこかで誰かが縫ってるんだよね。」と学生に話しかけると、「え?うそ?そんなアナログなん?工場の機械でポンてできるんかと思ってた。」という衝撃的な会話があったという経験、そしてアフリカ・ガーナの仕立て屋さんで味わった、目の前で布が立体になっていく手品のような光景に感動し「流しの洋裁人」になることを決意したそうです。濃厚な原田さんの経験談はこちら。
原田さんは今後産地で織られた織物の背景も語る伝道師「流しの洋裁人」として、産地の生地を担いで全国を行脚します。こんな個性豊かなお二人に会いたいみなさんは是非ハタオリマチ案内所(オリキョー)へ!産地の生地がごっそり揃っていますよ。問い合わせ先に迷ったら、まずはこちらに連絡してみてください!
ハタオリマチ案内所(オリキョー)
(山梨県絹人繊織物工業組合・富士吉田織物協同組合)
〒403-0005 山梨県富士吉田市上吉田2-5-1
TEL 0555-22-2164
糸に携わる人を全面的に応援!ハタオリマチのハタ印
ハタオリマチのハタ印、ここです、今あなたが見ているサイトです!『ハタオリマチのハタ印』は、100年後も富士山の自然に囲まれた美しいハタオリ産地として様々なヒトがいきかい、モノやコトが生まれる活き活きとしたハタオリ産地を実現する為のプロジェクトです。ハタオリマチ(山梨県富士吉田市・西桂町)をより良い形で次の世代に繋ぐため、富士吉田市産業観光部商工振興課・西桂町役場・オリキョー(山梨県絹人繊織物工業組合・富士吉田織物協同組合)・西桂織物工業共同組合・山梨県産業技術センター 富士技術支援センター・富士吉田商工会議所が一丸となって全体で新たな挑戦に取組み、その意思の印として「ハタ印」をかかげています。産地の総合ディレクターは高須賀活良さん、アートディレクションなどは広告デザイン会社TRICKYが担当しています。
「山梨ハタオリ産地(富士吉田市・西桂町)の、糸へんに関わる全ての人を応援したい」という思いから、生地を織るハタヤさんだけではなく、糸の整経工場や加工工場や準備工程の職人さんもご紹介しています。産地のイベント情報、各工場の活動はこのWEBサイトやSNSから発信しています。
ハタオリマチのハタ印
Facebook https://www.facebook.com/hatajirushi967
Twitter https://twitter.com/hatajirushi967
Instagram https://www.instagram.com/hatajirushi.967
「生地を作りたい」を叶えるMEET WEAVERS
そんなハタオリマチのハタ印がオリキョーと共に運営しているのが、2018年4月1日にオープンしたWEBサイト「MEET WEAVERS」。「こんな生地を作りたいけど、一体どうやってハタヤさんに頼んだらいいのかな?」を解決し、ハタヤさんとデザイナーさんを繋げる役割を担っています。
このWEBサイト覗けば、各ハタヤさんが織れる生地の種類や幅や、扱っている糸の種類がわかります。「柄物の生地を作りたい!」「防水機能を持った生地を作りたい!」など、具体的なイメージをタグから選ぶこともできるので、身構えず気軽にハタヤさんを探すこともできます!これまで閉ざされていたハタヤさんの情報を一挙にまとめたサイトです。MEET WEAVERSに掲載されている生地は、ハタオリマチ案内所(オリキョー)に展示中。是非生地を触りにいらしてくださいね!
MEET WEAVERS http://meetweavers.jp
全てのはじまりは、学生とハタヤさんの出会いから
ここから、山梨ハタオリ産地が、今の姿になったプロジェクトたちを紹介します。今から約10年前、OEM生産などで産地の知名度やハタヤさんの名前が薄れ、産地が未来を模索していたころ、山梨ハタオリ産地の次期2代目ハタヤは「これから家業のハタヤを継ぐのに、織物のこと全然知らない!」と悩んでいたそうです。
そこで、東京造形大学テキスタイルデザイン学科教授でありテキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんに「学生とコラボをしながら織物のことを学びたい」と提案したそう。こうして2009年に始まったのが、山梨ハタオリ産地×東京造形大学テキスタイルデザイン学科の学生との産学官コラボレーション「富士山テキスタイルプロジェクト」です。鈴木マサルさん監修の元、学生が提案したテキスタイルを各ハタヤさんと一緒に商品開発をしています。
今までOEM生産をしていたハタヤさんにとって、前代未聞の試みだったそう。なんせ「金魚の紐の部分って織れますか?」なんて、衝撃的なアイデアが学生から飛び出してくるんですから!そんなアイデアから生まれたのが、光織物有限会社と井上綾さんによる産地を代表するテキスタイルプロダクトブランドkichijitsu。このお話の続きはこちらへ。学生だけではなく、ハタヤさんも新しい刺激を受けた企画だったんですね。そんなプロジェクトも、今年で10周年。昨年も8社のハタヤと学生たちがコラボし、六本木のAXISや山梨ハタオリ産地で展示会も行われました。
富士山テキスタイルプロジェクトの情報は、Facebookにて更新されていますのでチェックしてみてくださいね。10周年になる今年は、ハタオリマチフェスティバルで大々的に展示をするとかしないとか。こちらも情報が確定し次第ご紹介させていただきます!
ハタヤさんが集まった!ヤマナシハタオリトラベル
「富士山テキスタイルプロジェクト」第一期生であり、ハタオリマチのハタ印総合ディレクターであり、シケンジョテキを立上げた高須賀活良さんが山梨県産業技術センター 富士技術支援センター(通称シケンジョ)の臨時職員だった頃、織物工場をめぐってピックアップした魅力的な生地や商品を「郡内直送織物展」として展示させていただいたのがきっかけで集まったハタヤさんによる販売チームが「ヤマナシハタオリトラベル」です。チーム結成のきっかけは、2015年、リネン製品を作るTENJIN factoryが、JR立川駅のecuteで販売イベントをすることになったこと。TENJIN factoryの小林さんが、「みんな学生コラボで自社製品も生まれてきたことだし、せっかくだからみんなで販売会をしようよ」と声をかけたことが発端だったとか。
日本全国、百貨店のほぼ全てを回ったのではないか!?というほど、様々な場所に出展させていただいたヤマナシハタオリトラベル。最近では、プロジェクトごとにメンバーが入れ替わりながら活動をしています。詳しくは、ヤマナシハタオリトラベルのFacebookページまで!ヤマナシハタオリトラベルで扱っている商品やイベントのお問い合わせは、各会社又はオリキョーへ。
織物の研究・開発からイベント企画まで行う「シケンジョ」
山梨県産業技術センター 富士技術支援センター、通称シケンジョ。主に技術・デザイン面から地域産業の様々なサポートをしている機関です。「堅苦しい機関なのかな?」と思うかもしれませんが、研究以外にも様々なプロジェクトを行なっている、アグレッシブな機関です!フジヤマテキスタイルプロジェクト発足から2年後、シケンジョが始めたのが「ヤマナシハタオリ産地バスツアー」。
産地でビジネスを作る「ヤマナシハタオリ産地バスツアー」
年に3回行われる、「ヤマナシハタオリ産地バスツアー」。その名の通り、産地を1日、バスツアーで回っちゃいます!と言っても、ただのバスツアーではなく、BtoBのビジネスマッチング・ツアー。ハタヤさんや加工工場の工場見学、展示会を通して、作り手と売り手を繋げようというバスツアーです。
昨年6月1日に開催されたバスツアーでは、なんと森の中で展示会が行われました。
商品を見ながら、ハタヤさんたちと直接交流することで、スムーズに商談できるのが魅力ですね!バスツアーの情報は、シケンジョテキのブログで確認できます!ブログでは、織物の豆知識や、繊維業界のプロでもなかなか知らないちょっとマニアックな織物知識も解説しているので、織物の奥深ーい世界を覗きたい方は、そちらもチェックしてみてください。
産地を思いっきり楽しむならハタオリマチフェスティバル!
産地の一大イベントと言っても過言ではない、イベント、ハタオリマチフェスティバル!毎年秋に山梨ハタオリ産地で2日間にわたって開催されるハタオリマチフェスティバルは、ワークショップや工場見学、古道具市、ライブなどのイベントやショップが盛りだくさん。
もちろん、グルメも目白押し。欲張って食べてたら一日終わっちゃうほど。
ハタオリマチフェスティバルは、富士吉田市役所の富士山課(観光課)が主催のイベント。企画は「山梨県の今を伝える」フリーマガジン「BEEK」を作るアートディレクターの土屋誠さん、地域おこし協力隊としてオリキョーで活動している藤枝大裕さん、富士吉田定住促進センターの赤松智志さんの3人が中心となり、多くのハタフェスサポーターズが応援しています。
ここで、オリキョーのお二方に続き、山梨ハタオリ産地に携わる個性的なメンバー、土屋さんと赤松さんについてもご紹介。
東京で10年間、フリーのアートディレクターとして活動し、2013年に実家のある山梨県にUターンをした土屋さん。土屋さんの作るフリーマガジン「BEEK」に惹かれた、山梨県産業技術センター 富士技術支援センター職員の五十嵐哲也さんからの依頼で、山梨ハタオリ産地の魅力を発信するフリーペーパー「LOOM」を作るこになったのが、産地に関わるきっかけだったそうです。
土屋さんは、毎年甲府で「こうふのまちの一箱古本市」というイベントも主催しています。「こんなにおしゃれなフリーマガジンやイベントを作る土屋さんに、イベントの企画を一緒にしたい!」と考えた我々は、富士吉田市役所の富士山課(観光課)と共に土屋さんにイベント企画をしていただきたいと懇願しました。こうして、土屋さんをハタフェスのアートディレクターとして迎え、織物に詳しい藤枝さんと、富士吉田市に詳しい赤松さんの3人が主軸となってできたのが、「ハタオリマチフェスティバル」だったのです!2016年11月、記念すべき第1回ハタオリマチフェスティバルが開催されました。
『吉田のまちの道具市』 を担当している赤松さんは、クラウドファウンディングでゲストハウスSARUYAを立ち上げたり、富士吉田定住促進センターで、富士吉田への定住に興味がある人を支援したり、高校生が大人と一緒に地域を考えるNPO法人かえる舎の理事をされていたり、げんき祭りの企画をされたりと、とにかく色々なことをやっている方!大学生のころ、ゼミの活動で富士吉田に来たのがきっかけで、地域おこし協力隊として富士吉田で活動するようになったそうです。まちを歩けば声をかけられる顔の広〜い赤松さんは、商店街の副会長でもあるそうな!人間力がありまくる赤松さんの今後のご活躍も楽しみです!
そんな3人が企画するハタオリマチフェスティバルに関するお問い合わせは、富士吉田市役所の富士山課(観光課)まで。今年のハタオリマチフェスティバルは、一体どんな企画があるのか、今から楽しみです!
いかがでしたか?こう見ると、「色々な人が、本当に色々なことをやってるんだなあ」と実感します。…あれ?結局冒頭と言ってること変わらないですね。でもきっと、携わることは個々に違っても、産地に関わる全ての人が「産地を盛り上げよう」という1つの思いで活動しているからこそ、今の山梨ハタオリ産地が作られていったんですね!