富士吉田出身、現在スウェーデン在住ケイゴマンのコラムです。

2017.12.24

「ある」幸せ


やっぱり季節のことについては多少書いたほうがいいかなぁ。
こっちの様子もどんなかとか知りたい?
この前はじめてクリスマスマーケットも行ってみたけど、古城の中が上手にリノベーションされてて、スケールの大きさを感じた。日本でいったら、お寺とかお城とかが活用されてる感じかな。

クリスマスマーケットの会場。

 

こっちももうすごく寒くて、体感的には、富士吉田の朝と夜のピーンっていう寒さをのぞけば、だいたいの体感は一緒で。星がクリアにどんどん見えるようになっていくこととか。寒い寒いっていいながら、家に入ってくこととか。自転車をこぐときはなぜか立ちコギが多くなってしまうこととか、なぜか地元が重なるね。唯一の違いは、こっちの家はめちゃくちゃあったかいことかな。Tシャツですごせるもの。

フィリピンのクリスマス

季節ネタを考えてたら、去年のクリスマスがすごく印象的だったから、その話をしたいな。(スウェーデンじゃないのかーい。)

大学院の留学のためには、IELTSっていう英語力を海外の大学に証明するために勉強がもっと必要で。先延ばしが大好きな自分としては環境ごと変えちゃうのが一番の近道だったから、フィリピンに行ってみたのだ。

学校はバギオっていう街にあって、首都のマニラから約5時間。山に囲まれてて、街中以外は自然がいっぱいだった。標高が1500m。年間の平均気温も20度もくらい。めちゃくちゃすごしやすい。気温以外は山梨感満載。寒くてもパーカーくらいでオッケ。

学校の授業がものすごく大変で。朝7時半から、夜10時20分まで勉強する毎日。楽しみといえば、週末にグットテイストっていう富士吉田でいったらガストみたいなところで飲むビールだったのよ。
(ちなみに富士吉田では、3次会、4次会をガストでしめるというのは「ツウ」のすること。)

バギオはすごいゴチャゴチャしてた。でも、山に囲まれてるのは富士吉田と一緒。

去年の10月から約3ヶ月くらい行ってたんだけど、11月の半ばくらいから学校の中で異変が起こりはじめたんだよね。先生たちの授業が急にうわの空になりはじめて、質問に答えるのも中途半端。代替授業も放課後には入れないでほしいという始末で。

先生たちが学校のデコレーションを始めたところで気づいたんだけど、「クリスマス」という一大イベントに集中しはじめていると。

彼らにとってクリスマスはとても神聖で、気合が完全に違ってた。授業もそれくらい気合い入れて欲しかったけど。

先生たちの気合1

気合その2

プレゼント交換もあって。交換というよりかは、プレゼントをくれる、あげる人が決まっていて、その人に毎週プレゼントをくれる、あげるという行為をクリスマスまで、毎週毎週続けてたのよ。

生徒も参加自由で、参加するには偽名を使って参加するのがルールで。クリスマス当日まで誰か誰にプレゼントをあげているかわからない仕組みになってるの。
毎週金曜日になると、担当の先生がプレゼントを集め、プレゼントをそれぞれに渡す。(ちなみに僕の偽名はブルースウィリス。そして僕がプレゼントをあげてたのは、アイラブレッド。くれてた人の名前は忘れた。。。エマワトソンだったかな。)

アイラブレッド→ブルースウィルス→エマワトソンっていう構図で4回のプレゼント交換があったんだよね。。。ブルースウィルスからエマワトサンってすごいよね。

この時期になると、大体の話題は、ブルースウィリスはお前か、アイラブレッドは誰とか、先生たちが誰が誰なのかヤッキになって探してたっけな。

 

クリスマス当日

デコレーションチームでそれぞれが出し物をしてたんだよね。踊ったり、歌ったり、劇をしてたの。ミュージカルとはほど遠いクオリティだったのに、僕は猛烈に感動してしまったのよ。
全部がジーザスについての劇だったっていう宗教的こともあるけど、先生たちが恥ずかしながらも精一杯を劇を作って、歌を歌って、踊りを踊っていた姿がどこかそこにちゃんと「ある」っていう感じがして。その「ある」感に持ってかれたのよ。

食堂のおばちゃんたちも出し物

失われていく風景

さて、ところ変わってバギオからさらに北に、世界遺産のバナウェっていう街に行った時の話。旬な季節に訪れたわけではなかったけど、バナウェの棚田は美しかった。自然の流れに沿った暮らし、自分たちの文化を中心にしている感じ。アジアにしかない景色。でも、その時のガイドさんはこう話してくれた。「棚田を継ぐ人がどんどん少なくなっている。ここでは世襲が普通なんだけど、最近の若い人たちはお金をもらっても継ぎたくないって言ってる。みんな都会に出て、いい仕事を探してる。」

ニ、ニホンと一緒じゃん!!!!

どこか日本の原風景を感じるバナウェの棚田

 

さらにフィリピンは進んでいて、もっといい給料があったら、海外に行くよっていう先生たちもたくさんいた。な、なんてこったい。 田舎→都会への流出の進化系は、田舎→世界っていう構図だったんだ。

この構図が続いていけば、確実にこの棚田はなくなってしまうでしょうに。

じゃあ、なんでここに残ってるの?って聞いたみた。
そしたら、自分の街が好きだからだってさ。

 

「ある」幸せ
 
好きっていう気持ちに強制はない。表現の仕方も自由だと思う。
好きだから、自分のできることをする。

背伸びした表現ってどこかカユい。
だから好きっていうことの等身大以上に何かをすると、なんだかすごくややこしいことがたくさん出てくるような感じがする。

僕はシンプルで背伸びがなかったあの劇に「ある」っていう感じがしたのは、みんなの真ん中にただ好きっていう感じがしたからじゃないかな。文化だからとか、宗教だからとかってあんま考えてない、気がした笑

 

 
 

この記事を書いた人



  • あらいけいご

    公務員を辞めて、スウェーデンの大学院でサステナビリティとリーダーシップについての修士号を取得。毎日がレボリューション。だいたい泣きそう。好きな居酒屋は臭獣、たかちゃんの人生濃いめのウーロンハイが大好物。お腹がよわい。 Twitterで現地の情報を発信してます。よければ。  https://twitter.com/araiobake 荒井オバケという名前でアーティスト活動もしてます。

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