丸幸産業で洋服黒染め実験!
暑い日々が続いていますね。みなさんお身体とろけていませんか?ハタオリマチは富士山の麓のため東京よりは若干涼しいのですが、やはり暑い。とても暑いです。そして、先日とっても熱い会合が開かれました。
その時「なかなか後加工を知ってもらう手段がない」と言う丸幸産業さんの意見を聞き、渡小織物の渡辺太郎さんがハタ振り役を買って出て、急遽「黒染め実験」をすることになりました!日本のラグジュアリーブランドから「漆黒に染まる」とお墨付きを受けている丸幸産業さんの黒染めはどれくらい黒く染まるのか実験してみます。
基本的にコットン・麻などの天然繊維が染められるということで、まずはハタオリマチの物好きが集まり、黒染めをしてみたい天然繊維の服を持寄りました。その数なんと30点!「実験」なので、みんなラフな気持ちで「染めたら面白い表情になりそ〜」という服を持ってきました。
まずは洗いをかけて汚れを落とし、動物繊維と植物繊維で染料を使い分けて染めていきます。暑い…高温で染め上げていくため、工場内はものすごい熱気です。丸幸さんの長年のカンで染め時間や染める順番を製品ごとに考慮しながら染めていきます。
ハタオリマチのハタ印総合ディレクターであり東京造形大学で教鞭を取る高須賀活良氏も驚愕の染色方法で洋服たちを染めている間、我々は吉田のうどん「ふじや」さんへ。
ふじやさんは、丸幸産業さんのご兄弟が営まれているそうで、なななんと!高校生と共同開発した竹炭入りの黒うどんがありました!黒染め実験中のみなさんはテンションが上がりすぎて全員黒うどんを注文。竹炭は便秘解消・脂肪吸着・口臭予防効果があるらしいですよ。あぁ満腹!
さて、時刻は16時。黒染め実験中の洋服たちはどのようになったでしょうか?
実験結果はこちら!
生まれ変わりましたねー!まるで新品同様に染め上がった洋服も爆誕!!Before Afterをぜひご覧ください。
こんなシミもしっかりカバーされています。
※このシャツは思ったより染まりませんでした。コットンの繊維にコーティング加工でもされていたのかな?
折角なので、実験の考察を以下の通りまとめてみました。
黒染め実験の考察
・ブロードの生地と相性が良く深く美しく染まる!
・スウェットと黒染めの相性が良い!まるで新品同様に染まる!
・キュプラはとーっても深く染まる!
・たまたまポケットに入っていた今治タオルが漆黒に染め上がった!
・白シャツはだいたい白いポリエステルの糸で縫製されているので、ステッチが白く残った。
・裏地の有るジャケットは表地と裏地(ポリエステルは染まらない)の収縮差が出るので要注意
・革は非常に縮んでしまう。タグが革のジーンズは要注意
・ジャケットの金ボタンがバイオの力で錆び染め風になった
・コットン100%と書かれていても糸に撥水加工等が施されている場合は染まらない
↑表地と裏地(ポリエステルは染まらない)の収縮差が出るので要注意の例
↑革がクシュッと縮んでしました。。
↑バイオ加工しているのでボタンの色も変わってしました。。
↑洗濯表示は「コットン」と書かれていましたが、おそらく繊維になにかの加工(撥水加工とか?樹脂加工とか??)がされていたようで、シャンブレー風の染め上がりになっていました。笑
丸幸産業さん曰く「白シャツを純白に染めてほしいという依頼もある」とのことでした。確かに、めっちゃ需要ありそう。
いかがだったでしょうか?非常に深く染め上げており、色移りや色落ちの可能性が高いとのことで、白Tシャツの上に黒染めしたYシャツを1日着用してみましたが、今のところ問題無し。真っ黒に染まった今治タオルで汗を拭いても、顔が黒くなることはありませんでした。笑
ところで、なんでこの黒染め実験をすることになったかといいますと、先日ファクトリーショップをオープンしている工場の方々が集まって会合を行っていた際に、丸幸産業さんのお悩み相談がありました。そこですかさず手を差し伸べたのが、渡小織物の太郎さん。会議のあとすぐに、ハタ印ディレクターたちと丸幸産業さんへ行って色々相談する中で、この黒染め企画が始動することになったのです。
富士吉田市・西桂町は家族経営スタイルの織物工場が多いので、通常業務に然程関係のない「第三土曜日に工場を解放する」活動を実施することは至難の業です。今や当たり前のようですが、オープンしている場所は、家族の憩いの場や企業秘密の詰まった場所なのです。
しかし「1000年以上続く山梨ハタオリ産地を存続させ次の未来に繋げるため、より多くの方々に織物工場の現場を伝えたい」という一心で、第3土曜日のファクトリーショップオープンを続けているのです。だからこそ、おもてなしや心持ちがとてもあたたかい。「雨の日にわざわざうちまで歩きで来てくれたから、次の工場まで送ってあげたんだ」「わざわざ金沢から来てくれる。本当に興味を持って来てくれる方々がいて嬉しい」「今からお客さんが行くからって電話くれるんです。心の準備ができるから有難いですよね」などなど、将来のため、まちづくりのために情熱を持って協力し合っていることがわかり、ハタ印も行政のみなさんもちょっと感涙…そんな感動的な会合で悩みを打ち明けてくれた丸幸さんの力になろう!と、動き始めたのでした。
サステナビリティの観点から見ても素晴らしい製品の後染め加工。「お気に入りの服にシミを付けてしまった。もう一度染め直して大切に着たい」という方をハタフェスに向けて募集しようと思います。詳細は乞うご期待ください!