2018.09.04
産地とデザイナーが繋がる!織り×加工のMeet Weavers Show
生地をつくりたい人と、ハタオリマチの工場が繋がることができるWEBサイト「Meet Weavers」。そのオープン記念イベントとして「Meet Weavers Show」が8月22日・23日、ハタオリマチで開催されました。
MEET WEAVERS SHOWは、織物工場のアーカイブが一挙に見れる「産地生地展」と、ファクトリーショップも兼ねた織物会社の「オープンファクトリー」の2つのShowを軸に、3つのコースでハタオリマチを楽しむことができます。
2回に分けてお届けしている、Meet Weavers Showファッションブランド限定の、二日間に渡って開催されるバスツアーの様子。今回は、8月23日に行われた企画をレポートします。メインイベントである「織り×加工」実験では、生地を持ち寄り実際に加工を施すことができたり、朝はハタオリマチである富士吉田の街を散策できたりと、中身の濃ーい1日となりました!
加工によって生み出される、新しい生地を一緒に見ていきましょう!
吉田の街歩き
おはようございます。朝の8時です。昨晩の宴が大いに盛り上がったMeet Weavers Showも、2日目に突入です。
さて2日目最初の企画は、富士山がキレイに見える下吉田の商店街付近で街歩き!
2013年に地域おこし協力隊として富士吉田に移住し、現在定住促進センターで活動している赤松さんの案内で、ディープな飲屋が集まる新世界通りや、ハモニカ横丁を歩くツアーが行われます。
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定住促進センターの赤松智志さん
短期移住体験ができる「ハモニカ横丁」
こちらは「ハモニカ横丁」。連なる建物がハーモニカのように見えることから、この名前がついたのだとか。
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連なる建物がハーモニカに見えることから名付けられた「ハモニカ横丁」
建物の二階は、移住者が物件を決める間、短期滞在ができるスペースになっているそうです!
アーティストレジデンス「DŌ-SŌ(ドーソ)」
2013 年より、空き家をリノベーションして宿を営んできたSARUYA が、2016 年の夏、国内外のアーティストや地域の人々のための、創作・交流の場として、空き家になっていたお菓子屋さんをリノベーションして、DŌ-SŌを開いたそうです。
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お菓子屋さんをリノベーションして開いたDŌ-SŌ
一階には藍染工房があったりと、ハタオリマチらしいスペースが揃っているんですね!
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藍の染料が!
ちょっと昔にタイムスリップ「新世界通り」
下吉田界隈には、細い路地がたくさんあります。その代表とも言えるのが、「新世界通り」なんだそう。新世界通りは、小さな飲屋街の名称で、スナックやジャズバーなどがあります。「愛人」と書かれたスナックの看板がインパクトバツグンですよ。
壁の色や落書きが味を出しています。
朝のハタオリマチは、夜のディープな雰囲気とは打って変わり、なんんだか優しい雰囲気が漂っていました!
散歩の後は、Meet Weavers Showメインイベントが始まります。
Meet Weavers Showメインイベント「織り×加工」実験
朝の気持ちいい散歩を終えた私たちが向かったのは、ハタオリマチで生地などの後加工・整理加工を行なっている山梨県織物整理(株)。2日目の午前中は、Meet Weavers Showのメインイベント、「織り×加工」の大実験会です!デザイナーさんたちが持参した生地をニードルパンチ加工・シワ加工する瞬間を見ることができます。
今回、工場の案内をしてくださる、山梨県織物整理の小杉さんです、よろしくお願いします!
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山梨県織物整理の小杉さん
異素材の生地同士を針でくっつける「ニードルパンチ加工」
実験会の初めは、剣山のような大量の針でウール素材の生地に異素材を絡ませる、「ニードルパンチ加工」で実験会です。なんと今回は、参加者が実際にニードルパンチ加工を体験できるワークショップも行われるそうです!
「ニードルパンチ加工」とは、このような細い針が約1万本内蔵された機械で生地をさし、ウール生地と異素材どうしの生地を絡めてくっつけていく加工です。
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小杉さんが持っている針が約1万本も機械にセットされています
ワークショップでは、大きなグレーのウールの生地に、様々なハギレを置き、ニードルパンチ加工を施していきます。
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グレーの生地にハギレを置いていきます
それぞれ思いおもいにハギレを置いていっています!
リネンからシルクまで、様々な素材を扱う工場が集まるハタオリマチらしく種類豊富なハギレがどっさり!
生地を重ねに重ねる参加者も。
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けっこう厚くても大丈夫!
ハギレを置き終えたら、剣山が待ち構える機械にセットします。
機械のスイッチを入れると、生地を置いた台が動き出し、中で上下する針に吸い込まれていきます!
機械の後ろから動いてる針山や、加工し終えた生地を見ることができます。
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機械の裏から出てくる生地を見る参加者の皆さん
完成した生地は、後でのお楽しみ。
生地の完成に欠かせない整理加工とは?
山梨県織物整理が行なっている「整理加工」という工程は、生地を製品として完成させるために必要なものだそうです。
ハタヤさんが織った生地にどんな加工をする必要があるのか、工場を案内しながら説明していただきました!
下の機械は「洗絨機(せんじゅうき)」と呼ばれる、生地を洗うためのもの。生地が擦れにくく、ウールやストールを洗うのに適しているそうです。
こちらの「ワッシャー」と呼ばれる大きな筒状の機械も、生地を洗うためのもの。
上の機械と何が違うかというと、繊維がフェルト化して縮む「縮絨効果」があるのだそうです!
洗い終わった長い生地がするする取り出されてきます。
こちらの長い機械は、「テンター」と呼ばれるもの。
生地をきめられた一定の幅に仕上げるための機械だそうです。ハタヤさんで織った生地は左右の幅が一定ではなく、少しばらつきがあります。生地屋さんで幅がバラバラの生地が売っていたら困るので、このように幅を揃えることが必要なんですね!
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後ろに見えるのが、「テンター」。生地が一直線にセットされています。
ベテラン「シワ職人」の加工技術で大実験!
大きなロールが2つあるこの機械は、蒸気で生地にシワを施すためのもので、スチームアイロンのようなものだそうです。
ここで、「織り×加工」実験会、第二弾開催です!
さて、「シワ加工」とは何かというと、手作業で縦じわやクシュっとしたシワを作り、このロールの中に生地を入れ、蒸気でシワを形状記憶させるというもの。手でシワを作るため、カチッとしたプリーツではなく、バラバラなプリーツができるのが特徴です。
今回、シワ加工をしてくださるのは、シワ加工の大ベテラン、小池さんです。なんと小池さんは、複数の有名ブランドからシワ加工のご指名を受けるほど、シワ加工のスペシャリスト!
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山梨県織物整理の小池さん
デザイナーさんがそれぞれ持ち寄った生地にシワを作っていきます。
小池さんがロールの上に生地をのせ、手でシワを「ギュッギュ」と作っていくのですが、あっという間に生地が綺麗なジャバラになっていきます。
手でで形作った生地を、2つのロールの間に入れ、数分蒸すと
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蒸気で蒸し、シワを作っていきます。機械の仕組みに皆さん感動です。
プリーツができました!「おおー、すげー!」と盛り上がる私たち。
均等なプリーツではなく、幅にばらつきがあったり二重にシワが入っているので、目でも楽しめます。
こちらは、生地に紐をくくりつけてシワ加工を施したもの。このままジャケットなどに使えそう!
織る技術と加工で生地の幅はぐっと広がる!
工場見学とシワ加工を終えたところで、先ほどみんなで作ったニードルパンチの生地が完成しました。
こちらは、デザイナーさんが持ってきたチェックの生地です。ニードルパンチ加工をすることによって、柄の強さを抑えることもできます。
「加工しすぎた!」と思っても、別の機械で加工の程度を戻すこともできるのだとか!
そしてこれは字を表現したものです。見事に生地と毛糸がくっついていますね!
今回、実験会を通して、織の技術で一枚の生地を作るだけではなく、その生地に様々な加工を施し、全く別の表情を持たせることができるのが後加工の魅力だと実感しました。
それぞれの技術を補い、掛け合わせることで、世にないテキスタイルがどんどん生まれていくような気がします!
午前中の実験会の後は、デザイナーさんがそれぞれ気になるハタヤさんを訪問し、個別の交流・商談に入ります。
私はというと、同時に開催される工場訪問バスツアーに参加します!その様子は、こちらからぜひ見て下さい。傘生地やストール生地を織る工場から、染工場、ファクトリーブランドまで、ハタオリマチの多岐にわたる技術が見れるそうですよ!
まずは、みんなでお昼ご飯を食べ、午後の商談会・バスツアーに向けて腹ごしらえです
富士吉田のソウルフード「吉田のうどん」が食べられる、地元で人気の「みうらうどん」へ。
私はMeet Weavers Showを引っ張ってくださる、山梨県産業技術センター富士技術支援センター(シケンジョ)の五十嵐さんおすすめ、「肉月見うどん」をいただきました。
びっくりするほど硬い麺、「吉田のうどん」トッピングの定番馬肉に、卵を絡ませて食べるのは至福です。どのお店にも置いてある薬味、「すりだね」が出汁の効いたスープに良く合います。富士吉田に来たら、ぜひとも食べたいソウルフードです!