2017.10.31

ハタオリマチフェスティバルvol.2が無事閉幕しました!


ついに10月7・8日、「ハタオリマチフェスティバルvol.2」が山梨県富士吉田市・西桂町(通称:ハタオリマチ)で2日間にわたって開催されました。始まる前から「イベントや出店が盛りだくさんすぎて2日間じゃ絶対足りないよね」なんてウキウキ話していたハタ印運営事務局の予想はまんまと的中。ハタヤさんによるトークイベントやワークショップ、展示、神社や路地で開かれた古道具市、クロージングライブなどなど…2日間じゃ全然足りないほど充実したイベントでした。

「時よとまれ!」って叫びたくなってしまいますよ、あの歌みたいに。

え?何かって?それは…最後まで読んでいただいて。最高に楽しいハタオリマチフェスティバルの思い出と、こんなに楽しいイベントを生み出す魅力満載な吉田のまちについて長々とお話させていただきます。

ハタオリマチでフェスティバル?

ハタオリマチフェスティバル、なんて長い名前だと思っている方もいると思うので、まずは「ハタオリマチフェスティバル」についてささっとご紹介。

遡ることなんと平安時代、1000年以上前から織物のまちとして歴史ある山梨県富士吉田市・西桂町(通称:ハタオリマチ)。信じられないくらい細い糸と高度な技術で織られるハタオリマチの生地は、高級織物として知られています。江戸時代には織物産業の中心として知らない人はいない存在だったハタオリマチですが、戦後衰退の一途をたどっていきます。仕事をもらうかわりに産地や会社の名前を出さない「OEM生産」で産地の名前が表に出ず、ハタオリマチは名の知れない産地となり、かつての賑わいは消えていってしまいます。

かつての賑わいを復活させようと始まった活動の一環が、この「ハタオリマチフェスティバル(通称:ハタフェス)」。魅力ある産地をいろいろな人に知ってもらいたいという願いからはじまったハタフェスは今年で2回目となります。

さ、説明はそんなところにしておいて!ハタフェスレポート、始めます。

ハタヤさんと出会えるイベントが盛りだくさん

ハタフェスの魅力、それは何と言ってもハタヤさんに出会えること。2日間でハタオリやものづくりのすごさを知ることができるイベントが充実でした。工場で行われるワークショップだけでなんと10!トークイベントが5回!しかも全部違うプログラムというところがまたポイントです。

ハタオリマチバスツアー

ハタフェス期間中、ハタヤさんを巡るバスツアーが開催されました。なかなか見る機会がないハタヤさんの仕事姿、覗いてきちゃいました。

傘を生地から作る槙田商店。創業1866年という歴史があります。江戸時代から織物のまちだったことがよくわかります。こちらは生地の裁断をしているところ。傘の大きさにあった木型を当て、裁断していきます。ムダのない正確な裁断に見とれます。

生地を裁断中

傘の生地と骨組みがずれないように、糸で縫い付けていく作業。縫い付けの速さはさすが職人。あっというまに傘が完成していきます。

生地と骨組みを縫い付けていく

傘が出来上がるまでの工程なんてなかなか見ることができないこと。参加者の皆さんも「すごい」の連発でした!

傘作りを見た後は、ショップへ。こちらは人参をモチーフにした日傘!

人参をモチーフにした日傘

座布団生地を織る田辺織物では、三遊亭くま八さんを招き落語上演会が開かれました!その名も、「ハタヤで落語会」。もちろん、くま八さんが座っている座布団は田辺織物のものです。観客の皆さんが座っているのも、言うまでもなく。私にとって人生初落語の演目が「勘定板」だったことはここでは触れないでおきますね。とにかくケタケタ笑っていました!

落語の中で、田辺織物やハタオリマチフェスティバルにも触れる三遊亭くま八さん。流石プロ!

高級ストールを、自分好みに

とーっても細い、天然繊維の糸を使って高級ストールを作る武藤。軽すぎてつけてることをわすれてしまうほどです。武藤で開かれたワークショップでは、なんとそんなストールを自分好みの色に染めることができてしまうのです!

武藤のストールを染液に漬け込む日が来るなんて…贅沢。

綺麗なイエロー!グラデーションがまたらん。

産地の学校の出張授業!

繊維産地の活性を目的に2017年5月14日に開校し、話題を呼んでいる「産地の学校」が、ハタオリマチにも出張しに来てくれました!

最後の授業は、「布を織る人、デザインする人」トークイベント。オーダー傘店「イイダ傘店」の店主飯田さんと、全国でもめずらしいほぐし織りの技術を持つ舟久保織物の舟久保さんとのトークイベント。

(左)飯田さん、(中央)舟久保さん、(右)宮浦さん

立ち見が出るほど大盛況のトークイベント。

後ろにもずらっと!

デザイナー飯田さんの、ときには無茶振りなこだわり、それに真摯に答える舟久保さんの姿勢。双方のプロ意識と二人の信頼関係を、このトークイベントで垣間見ることができました。

海を漂うイカをほぐし織りで表現した傘(右)

富士山に続く道で、ハタオリを感じる

富士山につづく吉田のメイン通りは古き良き商店街。晴れた日には目の前に富士の霊峰がどーんとお見え!ハタフェスでは、そんな商店街の空き店舗や蔵を利用したお店や展示が開かれました。

8日の早朝に見えました

歩いていると…ん?!「tatsuyasu watanabe photo exhibition」?その下には流しの洋裁人って書いてある。すごく気になる文字ばかり並んでいるので、入ってみました。

「tatsuyasu watanabe photo exhibition」を開いているWatanabe textileの渡邊竜康さんは、普段裏地生地を織るハタヤさんですが、様々な素材の糸を使ってとてもおしゃれな生地も織っています。そしてもう一つの顔は、なんと写真家!ハタヤさんという枠に収まらず、アーティストとして類稀なるセンスをテキスタイルや写真に落とし込んでいます。

生地の説明をしている渡邊竜康さん

入ってみると、なんともセンス抜群な空間が。幻想的な写真とともに、竜康さんが織った生地も置かれていました。

小物と一緒に並んでいるのが、竜康さんが作った生地たち。アルパカやウールの糸で織られた生地は、素晴らしく肌触りがいいんです。そして、何と言っても、かわいい!!質感はもちろん、デザイン性に引き寄せられる人が多発していました。ちなみに、我が家ではグレーのアルパカウールを使ったマフラーをゲット。無地のグレーですが、素材の良さや織り組織の可愛らしさが際立って、つけるだけでおしゃれに見せてくれるマフラーです。さっそく母と奪い合いです笑

奥に置いてある糸も絵になります

写真展の奥でミシンを動かしていたのは、原田陽子さん。流しの洋裁人として日本全国を行脚しながら、その場で服を作ってくれます!使う生地は竜康さんが織った生地。上質な生地を使ったオーダーメイドの服をその場で作ってもらえるなんてなかなかないチャンス。原田さんはとっても明るく気さくな方でした。

流しの洋裁人、原田陽子さん

海外の一流ブランドや日本のトップデザイナーから高い評価を得る宮下織物のテキスタイル展も!しかも蔵の中で生地を展示中ということで、迷わず入る私たち。木造りの内装と照明がテキスタイルを際立たせていました。

え、絵画?と思ってしまいますが。宮下織物ということは…そう、立体的ですが生地!額縁に入れて飾るとまるでアート作品のよう。

生地が額縁の中に

宮下織物の生地がずらっと。真ん中のワンピースは、日本の国旗をイメージして作ったそうです。他にも、日本列島があしらわれたワンピースや石をモチーフにしたワンピースなど、生地の様々な表現に触れることができました!

吉田のまちの道具市

「ハタフェスだから、ハタヤさんや生地に関するイベントだけ?」と思いきや、なんと2つのエリアに別れて「吉田のまちの古道具市」なるものがあったのです!全国各地の古道具や手仕事の良さを再発見できる雑貨店が所狭しと並んでいました。

小室浅間神社の白馬

富士急行線の下吉田駅を降り、真っ直ぐ進むと見えてくる小室浅間神社。やはりお祭といえば神社ですが、皆さんが抱いてるお祭りのイメージとはちょっと違うのがハタフェス。貴重な古道具や古着、雑貨、アクセサリーのお店が所狭しと並んでいるんです。それにしても、人がたくさん!大盛り上がりの浅間神社に圧倒されます。

こんなに人がいる小室浅間神社は生まれてこのかた見たことがありません。

個性的な雑貨・洋服店もありました。可愛くて、どことなくシュールなシャツ。着こなせる人は…

 

いた!!かわいいですね。男性でもいけちゃいます。

絵本のお店もあり、親子そろって楽しめます。小さい時読んでた絵本を見つけて「あ、あれ家にあった!」と嬉しくなっちゃいました。

古道具店には本当に色々な物が売っていました。「2の2」って書いてある!学校の給食で使われていたボール…?

活版印刷の文字盤。こんなに細かいんですねー。そして意外とカラフル!まずは文字盤をおしゃれに置ける家にするところから始めなきゃ。

活版印刷の文字盤

とある古道具屋にあったとても大きい生地。この柄たち、全部刺繍なんです。まさに手仕事の凄さを体感できます。「かわいー!」と思って値札をめくってみると、お値段なんと◯万円!手間暇かかってますね。

全て刺繍の生地

あ、もちろんグルメも忘れてはいけませんね!「これがお祭りの出店?!」っていうくらい、おしゃれなお店がたくさありました。制覇できなかったのが悔やまれます。

こちらはドライカレー。注文を受け、その場でこんなおしゃれに盛り付けしてくれるんです。カラフルでボリューミーなドライカレーでお腹は大満足。

おしゃれなドライカレー

こだわりのコーヒースタンドも。たくさんコーヒーのお店があって、一服どころじゃなく二服、三服…。どのコーヒースタンドも個性があって飲み比べしたくなります。

一つ一つ丁寧に入れたコーヒーは絶品

こちらは信州、松本から来たマフィンのお店です。フワッフワの大きいマフィンに、フルーツやチョコレートがたっぷり入っていました。なんとも贅沢なティータイム。私は桃のマフィンをいただきました、ごちそうさまです!

似顔絵を描いてもらいました!描いてくださったのは、ぺぺぺさん。「キャッチーな名前にしたくて」と、この名前をつけたそう。確かに、絶対忘れない名前です。

似顔絵を描くぺぺぺさん

似顔絵を描いてもらう機会なんてなかなかないですよね。顔を観察されるのはこっぱずかしいものです。それにしても似てる!

フィンランドの伝統雑貨、ヒンメリのお店も。そのままでもかわいいですが、光の影を楽しむこともできるそうです。ヒンメリの可愛さもさることながら、北欧の雰囲気漂うスタッフのお姉さん、可愛かった。

ヒンメリのお店

ハタフェスに参加して気づいたのですが、みんなおしゃれ!とにかく参加者の方のおしゃれ具合が半端ないのです。ちびっこだってみんな個性的。ファッション好きが集まるなんて、さすがハタフェス。目の保養になります

境内に続く参道

境内に続く参道は石畳。すぐとなりには民家があり、穏やかな時間が流れています。どこを切り取っても絵になるまち、それがハタオリマチなのです。

古道具や古着を見て、古本を見て、お昼食べて、似顔絵描いてもらって、アクセサリーや雑貨見て、お茶して…「あれ?もう4時間くらいたってる。」そうです、こういうことになるんです。ね、2日間じゃ足りないでしょ?

ディープな小路の、ディープなお店たち

浅間神社で賑やかな雰囲気を味わうのもいいですが、ちょっと大人な場所もご紹介。実は、富士吉田のまちは小路が多いんです。一足踏み入れると、そこにはディープな世界が!富士吉田に来たら、必ず体験していただきたいのがまち歩きです。

ついつい入ってしまう小路

富士吉田名物「新世界通り」。ハタヤさんが仕事終わりに通った飲み屋街です。昭和の香りするこの通りで古道具市なんて、ツウじゃないですか。

路地の脇で、語らいながら食事やビールを楽しむことができます。みなさん楽しそう!またここで長話をしていると、2時間くらいあっという間にたっているんです。

ビール片手にのんびり。

ふらふら歩いてると、昔のCDがずらっと置いてあるのを発見。普段聞かない音楽のCDも見てしまいまいます。

古道具市にいるだけで1日楽しめるイベントなんて、危険ですねー。でも、これで終わりではないのです。まだまだ心くすぐるショップがあります!

ハタオリ工場祭!

吉田のまちに各地のクリエイターが集結し、生地やプロダクトを販売した「ハタオリ工場祭」が開かれました!

福井県でリボンを作っている「レピヤンリボン」がハタフェスに出店!通常売っているリボンの他に、デッドストック品まで。今は出回っていないレピヤンリボンの商品が買えるという、超お得で貴重なショップでした。

レピヤンリボンのスタッフの皆さん

かわいい…あ!これもかわいい…あ!これも。キリがないです。苦渋の決断で2種類に絞り、リボンを購入。リボンを何に付けようか絶賛悩み中です。また飾り方がずるいですよね、買っちゃいますよ、これは。

リボンをカメラストラップにしたもの。カメラ女子の心を撃ち抜いていました。

カメラストラップ

会津木綿のお店も来ていまた!しっかりしているのに、着るたびに柔らかく肌になじむ会津木綿。白の生地でも肌が透けなくて、重ね着をすれば冬でも使えるそうです。

ハタ印のKIJIYA

我々ハタ印も、遊んでいただけではありません。ちゃんと産地のPRもしていましたよ。そう、ハタ印らしく、産地初の試みとして、生地販売を行ってみました!その名も、「KIJIYA」。ハタオリマチの生地屋さんです。通常は市場に出回らない生地を特別な許可をいただき、販売することができたんです。貴重な貴重な生地を、特別価格で買えてしまうチャンスということで、予想をはるかに超え多くのお客様にご来店していただくことができました!!

カラフルな生地は、主に傘生地を織っている槙田商店の生地。撥水・防水加工が施されているので、レインコートにできちゃいます。こんなカラフルなレインコートだったら、雨の日でも気分ウキウキです。生地にはちゃんとハタ印のロゴが入ったタグもつけました。なんと、協力してくれた学生スタッフの皆さんが、手で紙をちぎってくれたんです!おかげで優しい雰囲気のタグが出来上がりました。

珍しい生地に、お客さんも釘付け。嬉しいかぎりです。

慣れない裁断に、我々スタッフは緊張気味…。2日目は手馴れたものです。

裁断って難しいですね

ヤマナシハタオリトラベルの商品も。御朱印帳はどんな世代の人にも人気ですね!富士山があしらわれた御朱印帳は即完売でした。さすが富士吉田です。

kichijitsuのカラフルな御朱印帳

ハタ印スタッフの皆さん。なんてったって、スタッフが一番楽しんでるじゃないか?!ってくらい楽しいショップになりました。

ハタ印スタッフのみなさん

時間があっという間にすぎるのは何度も強調しますが、もう一つ、今後の参考までに。気がつくと、お財布の中が空っぽになっているんです!古道具市、マーケット、ワークショップ。どれも魅力的なものが揃いすぎて、見るもの見るもの「かわいい!」と心が動いてしまって、買ってしまうのがハタフェスです。皆さん、多めに、多めにですよ!!これは自らの反省点でもあるので、どうしても伝えたかったのです。

ハタオリマチ二ヒビクウタ

「楽しい!楽しい!」と言っていても、今年のハタフェスももうお開き。最後は、このハタオリマチにとっても意味のあるアーティストの皆さんによるライブです!!吉田にある小学校の体育館で開かれたライブ「ハタオリマチニヒビクウタ」では、ハタオリマチの厳しさも喜びも表現した「ハタオリマチノキオク」を歌ってくださる森ゆにさんが登場。そして現在活動休止中のwater water camelが一夜限りの復活!!

森ゆにさんとwater water camelのコラボ

大勢の人で埋め尽くされた体育館。「このまちで響く声は変わることなくなり続けている」。ハタオリマチノキオクの演奏が始まったとき、みんなの感動が一つになって、会場一帯に伝わってくるほど暖かい雰囲気に。

美しい歌声の森ゆにさん

ハタオリマチの優しさをすべて詰め込んだようなライブに、皆さんじーんとなっていました。ライブの終盤、water water camelの「水平線の見える丘で」では、みんなで肩組み大盛り上がり!「何て素敵な毎日だろう、時よとまれ!」のフレーズで、みんなが心から願った思いは同じはず。

 

ハタオリマチは面白い

今回、初めてハタオリマチフェスティバルに参加した私ですが、人の多さ、活気に終始圧倒されっぱなしでした。運営陣が「人の多さにびっくり!」と言っていたくらいですので、どれほどハタオリマチに人が集まったのかがわかります。ハタヤさんと来場者の方が話す光景や、来場者の方がワークショップで生地に触れる姿を見ていると、「イトとヒトがいきかうまち」の所以がわかります。

最後はみんな「ハタオリマチー!」の合図でパシャリ。

平安の人に、江戸の人に、「ハタオリマチはこれからもっと、今まで以上に面白くなっていくよ!」って伝えたい2日間だったなあ。いや、きっと届いていますよね、こんなに盛り上がったんですから。いやーそれにしても、本当に楽しかったー!!もう少し、余韻に浸っています。


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富士吉田市・西桂町までのアクセス

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    新宿駅-(JR中央本線1時間40分、特急60分)-大月駅-(富士急行線35分)-「三つ峠駅」

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