産地を支える力 オリコウさんをご紹介

平安時代から継承される技術を現代のデザインに活かす羽田忠織物

羽田忠織物 HADACHU ORIMONO 羽田正二


かわいい!

扉を開けると真っ先に目に入ってくる景色でもうノックアウト。DUCATIの黄色いバイクと赤と青のポスターが、爽やかな空間にパッと映えて乙女心をグッと鷲掴みにされちゃいます。ここは一体どこ?


HADACHU ORIMONOのネクタイ

ここは、ネクタイブランドHADACHU ORIMONOによるファクトリーショップです。クラシックカーやバイクが趣味だという羽田忠織物の羽田正二さんのセンスが存分に散りばめられた空間。入って左の壁には、「作品?!」と思ってしまうほどオシャレなネクタイが!

この空間でネクタイを1つ1つ選んでいると、時間を忘れてしまいそうです。今回は、男性だけではなく普段ネクタイをしない女子の心も鷲掴みにするほど、可愛くてかっこよくて平安時代からの技術も継承すえうネクタイ屋さん羽田正二さんにインタビューをしてまいりました。HADACHU ORIMONOのブランド誕生秘話や羽田さんの意外な一面が見れちゃいます。

何気ない一言がブランディングへ

羽田さん

ー早速ですが、ネクタイは何種類ぐらいあるんですか?
羽田さん「柄は200から300くらいで、ネクタイの種類は500から600あるかな」

ーそんなにあるんですか!
羽田さん「少し増えすぎちゃったから、そろそろ整理しようかな笑」

ネクタイマニアにはたまりません

ーHADACHU ORIMONOはいつ頃からスタートしたのですか?
羽田さん「8年前ごろからブランディングを始めたかな。自社ブランド自体はもう少し前からやってたんだけど。」

ーそれまではOEM生産のハタヤさんだったんですよね?
羽田さん「そうそう。うちはもともと羽田忠織物っていうハタヤで、いろんなブランドのネクタイ生地を、隣にある工場で織ってたんだ」

ーなぜ自社ブランドHADACHU ORIMONOを始めたのですか?
羽田さん「バブル崩壊後、ちょうど服が売れなくなってきた時代に、衣料雑貨であるネクタイだけは売れ続けてたんだよね。でも『ネクタイもいつかは売れなくなるな』って思うようになって、自社で何か作ろうと思ったのがきっかけかな」

カラフルなストールもあります

ジャカードオーガンジーの透き通った爽やかなネクタイ

先を見据えてブランディング化に乗り出したのですね!
羽田さん「元々はスーツに合うような光沢のあるネクタイを作っていたんだ。でも今まで作ってたネクタイと変わりばえしなくて。」

ーでは、今のようなカジュアルなネクタイを作るきっかけは何だったんですか?
羽田さん「テキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんと一緒にインテリア生地を作ったときに、鈴木さんに『そういえば俺ネクタイしません』って言われたんだよね笑。でも鈴木さんが『このインテリア生地みたいなネクタイならするかも』って言われたの」

ー鈴木マサルさん発案だったのですか?
羽田さん「そうだね。あとは『俺がやりたい生地って何だろう』って考えたときに、クラシックカーやバイクに乗る人が好きそうな、かっこいい生地だったんだよね」

ー最初の反応はどうでしたか?
羽田さん「最初に作ったネクタイを展示会に出した時、内心『微妙かなぁ』って思ってたんだけど、展示会に来た女性たちが『可愛い!!』って食い付いてくれて。やっぱり女子のアンテナってすごいね。笑」

蝶ネクタイもベストも可愛い

シルクなのに、光沢感がない!

ーネクタイ生地に使われる糸は何ですか?
羽田さん「シルクだよ」

ーえ!シルクってもっとツヤツヤしていて、光沢があるイメージですが…
羽田さん「普通シルクの糸は、蚕が吐き出すながーい糸ををそのまま撚って糸にするんだけど、あえてシルクの糸の束を一回ギュッと集めて、撚糸にするんだよ。そうしてマット感を無くした糸を『メランジ糸』って言うんだ。そのメランジ糸で織っているんだ。」

ー同じシルクでも糸にする過程でやり方を変えると、全然違う糸のようになるのですね!

工場にある糸。糸だけで可愛いですね。シルクなんて驚き

ーすごく可愛い柄ばかりですが、プリントじゃないんですよね?
羽田さん「ハタオリマチは先染め糸を使って生地を織るから、このネクタイの柄も全部織っている生地だよ。」

ー可愛いだけじゃないく、手間もかかっているから「かっこいい」ネクタイが生まれるんですね!生地のデザインはどこからインスピレーションを受けているんですか?
羽田さん「OEM生産の時、チェックやストライプとか毎回10柄ぐらいは自分でデザインしてサンプルを作っていたから、その時のデザインを応用したりしているかな。色はクラシックカーとかバイクとか、70年代のアメリカやヨーロッパを彷彿させるものが好きだから、自分の好きなイメージを落とし込んでるんだ。」

読解難解、平安時代から続く織物技術の紗織り

ーあの、羽田さんが平安時代継承している技法があると伺ったのですが…
羽田さん「『紗織り(しゃおり)』で織っている生地のことだね」

ー紗織り…って何ですか?
羽田さん「紗織りは平安時代の貴族が被った烏帽子に使われていた織り方で、糸と糸の間に隙間ができて風通しの良い生地になる。簡単に言うと、ヨコ糸にタテ糸を絡ませながら織るんだけど、仕組みを理解するのはすっごく大変。」

ーあ、よく見ると黒い糸が二重螺旋みたいになって糸が絡んでる!でも仕組みは全くわかりません!笑

黒い糸が二重らせんのようになっています。後ろが透けてる!

ー紗織りを織れる人は少ないんですか?
羽田さん「今はほとんどいないね。通常の織機に、紗織り用のセッテイングをして織るんだけど、熟練した職人さんの手加減がとても大事になってくる。その職人さんがいなくなったら途絶えちゃう技法なんだ。どうにか残したいから、他の職人さんにもお願いしたけど、3年かかっても習得できなかった。だから、うちでやり続けていこうと思ってる。」

ー紗織りの生地はどういう人に人気なんですか?
羽田さん「金沢とかでお茶をする人が紗織りを知っていた時は驚いたよ。着物を着る人には人気かな?」
ーこのマフラーも紗織りですか?

紗織りのマフラー。肌触りがすごくいい。

羽田さん「うん、冬用のマフラーとして作ったものだね。糸を紗織りで織ってから起毛させて、ニードルパンチっていう加工をしたものだよ」

ー後ろが透けるのに、触ってみると暖かみがあるのが不思議です!
羽田さん「紗織りは糸と糸の間に隙間がある分、重ねれば中に空気ができてあったかくなるのが特徴なんだよ」
ー夏だけじゃなく、冬でも使えるのですね!

ブランディングへの覚悟が言霊に

ー自社ブランドのネクタイを売るのは、やっぱり大変だったのですか?
羽田さん「うちのネクタイが売れてきたのは、OEM生産を一切辞めてからかな。」

ーどうしてOEM生産を辞めたら売れたんですか?
羽田さん「覚悟が生まれたからだろうなあ。これまでやっていたOEM生産って、自分たちの名前が出せない分、仕事がもらえるっていう安心感があるんだよ。でも自社ブランドは黒字になるまで何年もかかる。OEM生産で、『物だけ作っていたい!』っていう考えと、ブランド化は全く別だから、『OEMもブランドも』ってなるとどっちつかずに陥るんだよね。」

羽田さん

ーだから思い切ってブランド一本に絞ったんですね。覚悟が生まれたことで、変化はありましたか?
羽田さん「やりたいことや野望を、どんどん色んな人に話したことで、それがポンポン実現していったんだよ!」

ー所謂、言霊ですね!
羽田さん「そうかもしれない笑『こんな感じのをやりたいんだ』って人に言ったら、『お、じゃあやろうよ』って。色んな人との出会いで、色んなことが進んでいったんだ。」

ーこのショップはいつ建てられたんですか?
羽田さん「2015年かな。売る空間を作ることで、世界観を表現して伝えるために建てたんだ。実はここ、親父が大切にしてた庭だったんだけど笑。説得して建てたんだよね。」

ーもう入った瞬間に羽田さんの世界観が伝わってきました!コーヒーを飲みながら過ごしたら絶対ついつい長居しちゃいます。
羽田さん「やっぱりショップで買ってもらうのが嬉しいね。」

ーやはり、製品がどんどん広まっていくのは嬉しいですか?
羽田さん「嬉しいんだけど…『迷ったら買わないで!』って思っちゃう。」

ーえ、なんでですか?!
羽田さん「迷って買ってもらって、家のクローゼットで眠ってたら悲しいじゃん。自分が持ってる服と合うか考えて、『絶対身につける!』って思ったら買って欲しい。だから自分で良い製品を作ってる気はなくて、『本当に気に入った?』って買った人に問い詰めたいくらいだよ。笑」
ー羽田さん、意外ですね笑

広告としての役割を果たしたい

最後に、ネクタイが実際に織られている工場を見せていただきました。さっきまで見ていたネクタイの生地が、織機で織られています。これがネクタイや蝶ネクタイになるんですね。

織ってる最中の生地

ショップの隣にある工場

紋紙がずらっと置いてありました!簡単に言うと、糸を動かすための指示書のようなものです。無数に空いている穴が、糸の動きを指示します。

紋紙がズラーっと!

ーこれから、このハタオリマチでどのような活動をしていこうと考えていますか?
羽田さん「広告になることが役割かなって思ってるかな。ブランドをPRすることでショップに来てもらって、それが山梨ハタオリ産地の広告になればいいと思ってる。あとは、自社のネクタイをバイクや車好きの人のパーティーで身につけてほしいな。今はそのために人脈作りをしてるところ。」

ーあ、また言霊じゃないですか?!
羽田さん「なるといいね。最近は好きなことをやっているから、楽しいんだよ」
ー羽田さん、素敵なお話ありがとうございました!最後にお気に入りの車、見せてください!

すごいかっこいい!音も大迫力でした。HADACHU ORIMONOのネクタイは、渋谷ヒカリエ等でも取り扱われていますが、是非ショップを訪れて、世界観ごとHADACHU ORIMONOのネクタイをご堪能くださいね!


会社名:羽田忠織物 HADACHU ORIMONO

住所:山梨県富士吉田市上暮地3-7-26

電話:0555-22-4584

営業日:月ー金・第三土曜

ネクタイ 7,560円(税560円)〜
ECサイト http://hadachuorimono.shop-pro.jp

この記事を書いた人



  • 理緒森口

    文 森口 理緒

    八王子市出身のハタオリ初心者。ファッション好きな両親の影響で、さまざまなジャンルの服に興味がある。趣味は旅行。特に鉄道に乗って日本各地を巡るのが好き。

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