突撃取材!織物工場インタビュー
整経一筋50年!郡内産地の織物を支える丸若整経
丸若整経 渡辺 高光さん
郡内産地で50年にわたり、織物の準備工程「整経(せいけい)」を行っている渡辺高光さん。可愛いお孫さん8人に囲まれながら、真摯に糸と向き合うお姿を取材させていただきました。
整経とは、どのような作業ですか?

織物の経糸(たていと)を設計図通りに、必要な本数や長さ、幅を整えて、数千本の糸を一定の張力で男巻き(おまき)に巻き取る織物の準備工程です。他産地だと、男巻きを「ビーム」って言うんだよね。なんで郡内産地だけ男巻きっていうのかね?女巻きもあるの?なんて聞かれるよ!
この部分整経は、縞柄の先染め織物や、生産ロットの織物にぴったりな機械で、経糸を何回かに分けて男巻きに巻き付けて整経していきます。例えば、9,648本の経糸を揃える場合は、484本を20回巻くんだ。このネクタイの場合だと、機屋(ハタヤ)さんが14,400本揃えてねって注文だから、600本を24回巻くと、男巻きの完成っていう感じだね。例えば、黄色と白の縞の織物を作りたい場合は、黄色の糸を何本ずつ、白の糸を何本ずつと決めて、必要な本数分のコーンをあの棒に差して巻いていくイメージです。

糸にも“表”と“裏”がある
整経の前には、枷(かせ)で届いた糸をコーンに巻き直す「繰り返し」という工程があります。糸には“表”と“裏”があり、向きを間違えると糸が切れる原因になります。
枷が“表”の場合は綾(あや)がバシッと出るでしょう。これは染色屋さんの腕がいい証拠!ちゃんと“表”を意識して木枠にセットすると、糸がするする出てきて、スムーズに巻けるんです。


枷が裏だと糸がたるんじゃって、糸もブツブツ切れてしまうこともあります。金具の枷枠もあるけれど、木の枷枠の方がしなって綺麗に巻けるんだ。枷は濡れている方が巻きやすいから、雨の日の方がやりやすいんです。湿気が無いと静電気が起きちゃうんですよ。でも、この枷は濡れすぎだから今ちょっと乾かしているところです。チーズ染色だと繰り返しの作業がいらないので、そのまま整経機にかけることもあります。


整経に携わられたのはいつからですか?
18歳で父の工場の手伝いをするようになったから、かれこれもう50年ですね。当時の母は機を織っていて、父は整経職人でした。濡れ巻き整経もやっていましたよ。基本的な整経のやり方は、昔も今も大きく変わっていません。機屋さんから空男巻き(からおまき)が届いて、男巻きに巻く。整経は、機械が動いているときはずっとかかりっきりだし、今もほぼ手作業で行っていますね。機屋さんから空男巻きと一緒に預かった紙や新聞紙も、経糸がたるまないように、一緒に巻き込んでいくのも重要です。


整経がうまくいったなと思うのはどんな時ですか?
糸が届いた時に、この糸は綺麗に巻けそうだなって、感覚的にわかりますね。逆に、糸が切れると結び目のコブができて、それが織ったときに織傷に見えることもある。糸の扱い方ひとつで、織りやすさも仕上がりも随分変わるから、機屋さんが織りやすいように、気を抜かず、一本一本の状態を整えながら、なるべく糸をいじりすぎないことが大切なんです。
整経の面白さを教えてください!
一番は、いろんな糸をさわれることかな!郡内産地は先染織物の産地だし、傘、袖裏、ネクタイ、服地、マフラー、金蘭、御朱印帳、っていろんな品種の織物を織っている産地でしょう。だから、経糸も、シルク、キュプラ、ウール、コットン、ポリエステルって、いろんな種類の素材を扱える。それが面白くてね!触っただけで、この糸は綺麗に巻けそうだなぁってわかりますね。

いかがでしたか?どんなに優れたデザインでも、整経が整っていなければ、織物職人さんがどんなに頑張っても美しい仕上がりの織物にはなりません。数千本の経糸をまっすぐに揃えて、織機にかけられる状態へと導く仕事は、織物づくりには欠かせません。丸若整経の誠実なものづくりが、産地の信頼を支えています。
会社名: 丸若整経
住所: 山梨県富士吉田市旭3-12-7
電話: 0555-23-6390










