2018.10.16

ハタオリマチフェステバルvol.3にご来場頂きありがとうございました!


10月6・7日、山梨ハタオリ産地で「ハタオリマチフェスティバル」が開催されました

1000年以上、はるかむかしからハタオリ(機織)の「パッタンカッタン」という音が鳴り響く山梨ハタオリ産地(山梨県富士吉田市・西桂町)で、秋のおまつり「ハタオリマチフェスティバル(通称ハタフェス)」が10月6・7日に開催されました。3回目となるハタフェス、今年はより「マチ」を楽しめる仕掛けがたくさんありました!
山梨ハタオリ産地や全国各地から集まった生地製品やワークショップをはじめ、美味しいグルメを堪能してきた私、森口がハタオリマチフェスティバルをレポートします。山梨ハタオリ産地がここまで活性しているヒミツも、このハタフェスで明らかに?!

食べて買って体験できる街歩き

富士山へ続く「富士みち」を中心にハタフェスのメイン会場が設置され、富士みちの商店街には全国各地から集まった生地製品ブランドやワークショップ会場が集結しました!開催日は両日とも晴れ、暑いくらい。美味しいドリンクを片手にせっせと回らないと、あっという間に時間が立ってしまうほど、景色も各ブースも見応えがありました。

富士山へ続く「富士みち」

早速富士みちを下がり(豆知識:富士吉田のヒトは富士山を目印に「上にいく」「下にいく」といいます(笑))富士急行線下吉田駅付近にある「小室浅間神社」へ行くと、雑貨や古道具、フードの店がここかしこにありました。

総合案内所でハタフェスの冊子をもらい、スタンプラリーを完成させながら各会場を回ることができます!

各ブースでスタンプを押していくと、今回のハタフェスのメインビジュアルが完成するそう!これは回るの張り切っちゃいますねー!

小室浅間神社に出店していた小物・古道具屋さんやフードは、どれも可愛くて美味しいものばかりでした。

生地、生地、そして生地!!

「ハタオリマチフェスティバル」は名前に「ハタオリ」がつくだけあり、様々なところで生地や生地製品に触れることができました。指先で生地の風合いを感じながら可愛い小物をゲットできます。小室浅間神社にあったのは、プリントテキスタイルや刺繍のハンカチやスカーフを取り扱っているお店たち。

浅間神社を抜け富士みちを登って行くと途中で見えるのが、なんとも味のある看板が目を引く百貨店、「まるさくたなべ」。

この百貨店の2階で開催されていたのが、八王子のプリント工場・奥田染工場をで染色を学んだ塾生たちの合同展、奥田塾「布を染める」です。

八王子の織物工場、「中山メリヤス」さんで織った生地に、奥田染工場さんが金の箔をつけた作品も数多く展示されていました。

まるさくたなべを後にし、さらに富士山へ近づいて行くと見えてくるのが、ハタフェスのメイン会場の1つである「ステンレス工業」。

山梨ハタオリ産地や全国各地のファクトリーブランド、古本屋さんが集まっていました。

福井県のファクトリーブランド「レピヤンリボン」が今年もハタフェスに出店していました!

watanabe textileの生地は、渡辺竜康さんのセンスが詰まったおしゃれなものばかり

watanabe textileの渡辺竜康さん

株式会社槙田商店の傘もステンレス工業に出店していました。手作りで傘を作る槙田商店ならではの、傘づくりデモンストレーションも行われていました!傘が作られる工程を見れる、とても貴重な機会です。手作業で骨組みと生地をつなぎ合わせていく職人さんの手捌きに釘付けでした!

槙田商店の傘

会津からやって来た会津木綿のアパレルブランド「ヤンマ産業」の洋服もずらっと!年に1~2回の受注販売を中心に販売を行なっているヤンマ産業の洋服をゲットできるチャンスなので、みなさんお財布と相談…などせずたのしそうに選んでいました。

山梨ハタオリ産地の生地を集めた「KIJIYA」もハタフェスに参戦していました。他では手に入らない凝った生地も買うことができました!KIJIYAは普段、富士急行線の富士山駅の中にある「ハタオリマチ案内所」で生地を売っているので、ハタフェスに来れなかった方は、案内所へお越しください!

KIJIYAの横には、店舗を持たず移動しながら洋服を仕立てる、流しの洋裁人原田陽子さんもミシンを動かしていました。

「せっかくハタフェスに来たんだから1つはワークショップ体験したい!」と思い、デザイン会社pole-poleがステンレス工業の入り口で開いていたシルクスクリーンのワークショップ「Print Bar」に参加してきました。

このワークショップでは、様々な幅の縞模様を組み合わせてオリジナルのチェック柄をプリントすることができます。
「ほうほう、バッグに対してまっすぐ縞模様を置くのか。じゃあ私は…」と持ち前の天邪鬼を発揮し、

バッグに対して斜めに版を置いてみました!かなり攻めたプリントができそうです。版の上からピンクのインクを置くとこんな感じ。

ここから、グレーとグリーンの縞模様をつけます。一体版をどう乗せるのか?!

できましたー!
仕上げに、pole-poleのロゴを乗せてもらえるのですが、スタッフの方が「ロゴも斜めにしましょう!」と一緒に位置を考えてくださいました。持ち物をこのバッグに入れ替え、次の会場へ向かいます。

他にもたくさん!ワークショップ目白押し

「せっかくハタオリの街にきて、ハタオリのお祭りに参加してもらうのですから、ぜひ織物にまつわるいろいろな企画にご参加いただきたい。」という思いから、織物工場で体験できる様々なワークショップも企画していました!

御朱印帳製本ワークショップやコップの座布団、ストールピンをつくるワークショップ、手機体験や、実際に動いている高速織機を使って好きな色のストールを作る贅沢なワークショップやニードルパンチ体験、染色体験など、本当に多くのワークショップがありました。詳しくは、こちらのハタフェス公式サイトで御覧くださいね。
本を探しながらディープな路地裏を散策

山梨ハタオリ産地の街歩きは、富士山がドンと構える「富士みち」だけではありません。ちょっと脇道に逸れれば、そこにはディープな世界がじっと佇んでいます。特にそそられる匂いがプンプンする飲み屋街「新世界乾杯通り」は、夜になると賑やかな界隈です。

そんな新世界乾杯通りには、全国から集まった本と雑貨のお店が集結していました。アウトドアや旅をテーマにした本やマニアックな雑誌など、掘り出し物がたくさんありました!

山の本を扱う本屋さんがありました。ハタフェスの直前に南アルプス甲斐駒ケ岳に登って来た私は、この本に出会えて大興奮!

中村会館前は、前田源商店のお得なオーガニックコットンの端切れ販売や発酵マルシェで賑わいをみせました!反物から生地製品まで、「ハタオリ」のおまつりりにふさわしいほど生地に触れることができるのが、ハタオリマチフェステバルです!日本の織物産地が誇る上質な生地に触れることができる贅沢な街歩きでした。

山梨ハタオリ産地 10年の記憶

2日間に渡りハタフェスを巡りましたが、「そもそも、どうして1つの織物産地がこんなにも盛り上がっているの?」と疑問を持ったかと思います。小さな織物産地がハタオリを掲げてイベントを行えるのはなぜでしょうか。そんなエネルギーはどこから湧き上がるのでしょうか。この疑問に答えてくれる面白そうなイベントが、富士みちの一角で行われていました!

ハタオリマチフェスティバルの目玉イベントの1つ「ハタオリ大学展」。ハタオリ大学展は山梨ハタオリ産地が活性化するきっかけとなった「フジヤマテキスタイルプロジェクト」が10周年を迎えたことを記念して開かれた回顧展です。フジヤマテキスタイルプロジェクトとは、東京造形大学テキスタイル専攻の学生と山梨ハタオリ産地の機屋さんがコラボし、生地製品を作るプロジェクト。今回のハタフェスでは、本プロジェクト10周年を記念し、過去の製品を一挙に集めた回顧展「ハタオリ大学展」が開かれました。

学生と機屋さんの10年の歩み 「ハタオリ大学展」

3階立ての蔵の中で、10年分の作品を集めた展示会が行われていました。蔵という独特なドシッとした雰囲気の中で、軽やかな生地製品がよく映えます。

山梨ハタオリ産地は古くからシルクを得意とする産地だけあり、ネクタイを織る工場がたくさんあります。ネクタイを作る職人さんと学生がコラボしたことで、こんなにも斬新なネクタイが生まれたそうです!

2階へ上がると、和柄を得意とする光織物と学生がコラボした作品がずらっと展示されています。
御朱印ブームの火付け役、井上綾さんデザイン「kichijitsu」の御朱印帳を何十種類も見ることができました。こんなに多くのデザインがあったんですね!

御朱印を集めたいのか、御朱印帳を集めたいのか…とわからなくなるほど全種類気になります。

現在、このサイト「ハタ印」の総合ディレクターをしている高須賀活良さんが東京造形大学の学生だった頃、座布団生地を織る田辺織物さんとコラボした商品もありました。
田辺織物はお寺などで使われる煌びやかな座布団を作っている機屋さんなので、金や銀の糸を活かすことができる基板をモチーフにしたパソコンケースや名刺入れを作ったそうです。それにしても基板がとてもリアル。

こちらは、田辺織物さんと当時学生だった山本さんがコラボして作った座布団カバー、「干支ザブトン」。干支をモチーフとし、可愛いかつモダンなこのカバーは田辺織物でも人気の商品だそう。和と現代をうまく掛け合わせたこの座布団カバーなら、和室にもクッションカバーにしてソファに置いても合いそうです!

3階に上がると、傘の展示が行われていました。傘生地を作る機屋さんが多い山梨ハタオリ産地で学生と共に傘を作ったことで、様々な技法を駆使した新しい傘がたくさん出来上がったといいます。

ほぐし織りを得意とする舟久保織物と学生がコラボして制作した「みのの傘」。みのむしをモチーフにしているそうです。

みのの傘

10年以上前まで山梨ハタオリ産地の工場はOEM生産が主流だったため、自分たちの名前で生地製品を作るなんて考えられなかったそうです。フジヤマテキスタイルプロジェクトで学生の自由で斬新なアイデアを取り入れ、学生と職人が一緒になって新しいモノを作ったことが、山梨ハタオリ産地の今の姿を作ったんですね!

もちろん今年のコラボ作品も展示されていました。

お寿司をモチーフとしたサコッシュやカード入れ。その名も「メゾン寿司」と言うそうです。ご飯つぶがしっかりとデコボコしていました!さすが、織りで魅せる山梨ハタオリ産地!

可愛いテキスタイルに心打たれるショップも勢揃い

展示会場である蔵の前では、過去に機屋さんとコラボした東京造形大学テキスタイル専攻の卒業生で、現在テキスタイルデザイナーとして活躍する方のブランドも出店していました。

「いつもの暮らしにシュワッとした刺激を」をテーマにしている炭酸デザイン室TANSAN TEXTILE

食をテーマにデザインするテキスタイルブランドgochisou

東京造形大学大学卒業生、鵜飼甘菜さんのブランド「Ugai」

物欲が止まらなくなるブースの中には、世界的なテキスタイルデザイナーであり、本プロジェクトを10年に渡り指導している鈴木マサル先生のプライベートブランド「OTTAIPNU(オッタイピイヌ)」まで!

鈴木マサル先生のプライベートブランド「OTTAIPNU」

フジヤマテキスタイル プロジェクト10年、特別なトークショー

お店の横では、東京造形大学卒業のデザイナーとそのデザイナーと縁のある山梨ハタオリ産地の機屋さんとのトークイベント「ハタオリ大学トーク!」が開かれていました。当時機屋さんとコラボした際の苦悩や感じたことを、1時間たっぷり話していただきました。

現在、gochisouのテキスタイルデザイナーとして活躍している坂本あこさんです。学生だった当時、「ご飯」をモチーフにした傘を舟久保織物の舟久保さんと制作しました。
「ご飯をほぐし織りで表現しようと思ったのですが、細かいご飯つぶをほぐし織にうまく活かせなかったと思うので、少し悔しかった思い出があります笑」と語っていました。

井上綾さん(左)と光織物の加々美琢也さん(右)

kichijitsuのデザイナー、井上綾さんと光織物の加々美琢也さんとの対談です。
琢也さんは10年前、鈴木マサル先生に産学コラボを提案した張本人です。当時家の機屋を継ぐことになった琢也さんが、自由な学生のアイデアを受け入れながら作品を作ることで、自身と学生双方が織物について学べるように産学コラボを提案したそうです。OEM生産で工場の個性が出せずにいた時代を打破しようと提案した産学コラボ「ヤマナシハタオリトラベル」が、今日の山梨ハタオリ産地に繋がっていることはとても感慨深いものがありました。

井上綾さんが東京造形大在学中に光織物と作った「おまもりぽっけ」

左から鈴木マサル先生、井上綾さん、加々美琢也さん、渡小織物の渡辺太郎さん

東京造形大学を修了後、山梨県西桂町の織物工場である株式会社槙田商店でテキスタイル デザイナーとして活躍している井上美里さんと、同じく槙田商店でテキスタイル デザイナーとして長く勤めている田村知恵巳さんとのトーショーでは、「テキスタイルデザイナーが活躍できる産地」についてお話していました。

井上さんは大学院時代、収縮糸を使った傘hanacasaを提案。当時傘に収縮糸を使うなんて考えられなかったそうですが、学生の突拍子も無い提案に真摯に向き合ったことで傘を完成させたそうです。卒業後テキスタイル デザイナーとしてそのまま槙田商店に入った井上さんは、学生時代に作った傘をブラッシュアップし、「菜-sai-」という野菜をモチーフにした日傘を作り、現在では人気商品となっています。

左から高須賀活良さん、井上美里さん、田村知恵巳さん

織物工場にテキスタイル デザイナーがいるということはとても珍しいことだそう。「テキスタイルデザイナーが工場にいることで、ファッションデザイナーの要望を生地に落とし込みやすい」とお二人は語っていました。

6日のトークショーの後には、「ハタオリ大学大賞」と称した受賞式も行われ、1o年分の作品の中から富士吉田市長賞・富士吉田商工会頭賞・山梨県絹人繊維織物工業組合理事長賞・ハタオリ大学大賞が発表されました。

富士吉田市長賞に輝いたのは、鈴木龍之介さんデザイン、田辺織物制作の「メゾン寿司」!
インパクトとネーミング、そしてこれから富士吉田市でインバウンドを強化したいという点から選ばれたそうです!

富士吉田商工会議所会頭賞に選ばれたのは、山本遥さんデザイン、田辺織物制作の「干支ザブトン」です!
伝統品である富士吉田の座布団ですが、新しいデザインと風合いで干支12種類を表現したことが評価され、受賞を決定したそうです。

山梨県絹人繊維織物工業組合理事長賞に輝いたのは、井上美里さんデザイン、株式会社槙田商店制作の傘、hanacasaです!今までの傘では考えられなかった、収縮糸を使うことで、生地の風合いも色も想像がつかない新しい傘を生み出したという点が評価され、受賞に決定したそうです。

最後に山梨ハタオリ産地の機屋さんに投票をしてもらい決定した、ハタオリ大学大賞です。受賞したのは井上綾さんデザイン、光織物制作の「おまもりぽっけ」です!おまもりぽっけが起爆剤となり、次々と産地内でファクトリーブランドが生まれ、ヤマナシハタオリトラベルも結成されたということで、受賞に輝いたそうです。

鈴木マサル先生が渡している受賞の記念品は、鈴木マサル先生がデザインした商品たち。なんとサイン付きの本までご本人から贈呈です!

Photo by 市岡祐次郎(しゃかいか!)

デザインや風合いが保守的になりがちなネクタイや座布団・傘・ストールなどに対し、学生たちの既成概念にとらわれない提案をしたことで、機屋さんたちが持ち前の技術をベースとした新しいものづくりに挑戦できるようになったのではないでしょうか。今回のハタオリ大学展や授賞式では、職人さんや工場の雰囲気、そして産地が一気に明るい方向へ変わっていた軌跡を見ることができたとともに、これから先の織物産地のあるべき姿を見たような気がします。

トリはやっぱり、音楽で

ハタオリマチフェスティバルのトリはやはり、毎年恒例のクロージングライブ!会場は、下吉田第一小学校の体育館です。今年は森ゆにさん、田辺玄さん、3人組みのアイリッシュバンドtricolorさんが登場しました。
最初に登場したのは、森ゆにさん。優しく透き通った声が本当に魅力的で、心と体を全て浄化してくれるような気分になります。

森ゆにさん

優しい音に癒された後は、tricolorの愉快な音楽が会場を沸かせました。大人たちは手拍子で、ちびっこは飛び跳ねながらノリノリで楽しみました!

途中で田辺玄さんと森ゆにさんが加わり、2人作曲の「ハタオリマチノキオク」も披露していただきました。バックには写真家の濱田英明さんが撮影した山梨県ハタオリ産地の動画と織機の音も流れ、改めてハタフェスが機織りと街のおまつりであることを実感しました。

田辺玄さん

毎年機織りにまつわる歌を披露してくださる森ゆにさん。今年はテキスタイルデザイナーとして山梨県西桂町で活動している堀田ふみさんが、音楽に合わせて手織り機を動かすパフォーマンスもありました!

NHKの番組、「シャキーン」で人気の「じかきうた〜あさ〜、〜よる〜」もtricolorと森ゆにさんが披露してくださいました!
山梨ハタオリ産地の織物会社で働く藤野寿朱菜さんが、じかきうたの演奏の際に字をノートに書き連ねていきます。今年はクロージングライブにも面白い仕掛けが盛りだくさんですね!

ハタ女ワークショップも企画している藤野寿朱菜さん

今年のハタフェスも期待以上に盛りだくさんでしたね!
来年はどう満喫しようかなあ。今からとても楽しみです!

ハタフェスの面白さは、語りきれません。「2日間で楽しみきれないおまつり」が裏コンセプト。また来年も来たくなっちゃう、たのしいイベント満載です。他にはどんなイベントがあったのかな〜?気になる方は、ハタオリマチフェスティバル公式サイトをチェックしてくださいね。

ハタオリマチフェスティバル
https://hatafes.jp
主催:山梨県富士吉田市・ハタフェス実行委員会
企画:BEEK 土屋誠 装いの庭 藤枝 大裕 かえる舎 赤松智志


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