突撃取材!織物工場インタビュー
産地の糸と向き合う撚り付け職人舟久保 久さん
撚り付け 舟久保 久さん
織物を織る上で、無くてはならない大切な準備工程があります。それは、織物を織り終えた経糸(たていと)と、次に織る経糸の男巻き(おまき/別名:ビーム)を一本一本をつなぐ「撚り付け(よりつけ)」です。今回は、撚り付け職人歴60年の舟久保久(ひさし)さんに、撚り付けについて教えていただきました。


一本ずつ、経糸をつなぐ仕事
ーまずは「撚り付け」について教えていただけますか?
簡単に言うと、経糸を繋ぐ商売だよ。郡内産地の織物は高密度から、経糸が多い場合は1万2千本ってたくさんあるでしょう。その1本ずつを繋いでいくわけよ。今はポリエステルを繋いでいるけれど、キュプラを繋ぐ場合もあるし、シルクの場合もある。織物工場によって糸の種類が変わるから、それに合わせて、うちでは撚り付けの機械も10台位揃えていているかな。


ー撚り付けの機械っていろんな種類があるのですね!
そうよ。最近は、双糸(そうし)も増えたけど、熱で溶けてちゃうこともあるから、そういう場合は刷毛で整えるほうが安全だし、ネクタイ用の単糸を扱うときは、アイロンをかけて整えてから撚り付けをする場合もある。刷毛のバージョンもあれば、針のバージョンもあるし、経糸によって刷毛の種類自体も変えるしね。帯電防止剤の入ったオイルを使うこともある。ゴミが溜まれば結びが甘くなるから、掃除も大事なんだ。その経糸に合わせて、撚り付けの機械をカスタムしながら使っているんだ。

ー機械をカスタムして使っているのですか!
糸にも癖があるでしょう。伸びる糸、伸びない糸。毛羽立つ糸、帯電しやすい糸。そういう糸の特徴に合わて道具や押さえ方を変えるし、細番手は福井の橋詰、毛羽モノは京都の豊田精機って、機械も変える。同じ撚り付けでも、糸によって対応がまったく違うんだ。
郡内産地の経糸と向き合って60年
ーこのスピードで糸を結んでいて失敗したりしないんですか?
もちろん、糸が結べない場合もあるけど、糸が結べずに糸が落ちた瞬間はわかるから、結び直すわけよ。
ーすごい!!こんなにも極細の糸なのにどうしてわかるんですか?
どうしてって、もう60年もやっているからわかるもんはわかるっちゅうわけよ(笑)指先の感覚で、あぁ今落ちたなって。糸の掴み具合が変わると結びにくい場合もあるけどね。

ー撚り付けはどんな種類の糸だと難しいのでしょうか?
伸びない糸ほど難しい。特に、かぶつ(前に織っていた経糸)が太くて男巻きが細いと、糸の掴み具合が変わるし結びのバランスが崩れるからコツがいる。かぶつ細い糸で、男巻きが太い糸の方がまだ扱いやすい。だから、経糸の規格が変わらないのが一番結びやすいわけよ。濡れ巻きって聞いたことある?

伸びない糸ほど難しい
ー濡れ巻き整経!今は作れない郡内産地特有の光沢が美しい織物ですね!!
昔はみんな濡れ巻きで織ってたんだけど、あれは特に難しくてね。綾が一箇所しかないから、失敗するとやり直しがきかないわけよ。今の整経は綾が2箇所あるからリカバーができるけどね。

糸の数え方も変わったね。「一読み(ひとよみ)」ってきいたことある?今は9600本だったら120本×8だなって本数で数えるけれど、昔は、80本を一読みって言ってね。昔は、向原エリアだけで機屋さんが500件あったもんだから、撚り付け職人だって20人もいたんだ。毎日忙しかった。朝飯前に撚り付け、朝飯食べてから1本撚り付け、午後からまた違う工場で撚り付けって、多いときは7つも撚り付けしていたね。うちも昔は機屋だったんだけど、仕事がたくさんあるもんだから、撚り付け専門になったの。ガチャマン時代はすごかったよ。
今は私を含めて撚り付けの職人は3人っきりだから頑張んないとね。


経糸をつなぐことは、産地をつなぐこと。機械の並ぶ工場で、久さんは今日も糸をつないでいます。
撚り付け職人舟久保 久さん
富士吉田市向原1-19-26
電話 0555-23-5744
会社名: 撚り付け
住所: 富士吉田市向原1-19-26
電話: 0555-23-5744









