2018.09.15

【2日目】整経から加工まで一挙に見れる!MEET WEAVERS SHOWバスツアーレポート


8月22日・23日、MEET WEAVERS SHOWが開催されました

生地をつくりたい人と、ハタオリマチの工場が繋がることができるWEBサイト「MEET WEAVERS」。そのオープン記念イベントとして「MEET WEAVERS SHOW」が8月22日・23日、ハタオリマチで開催されました。

MEET WEAVERS SHOWは、山梨ハタオリ産地の織物工場のアーカイブが一挙に見れる「産地生地展」と、ファクトリーショップも兼ねた織物会社の「オープンファクトリー」の2つのShowを軸に、3つのコースでハタオリマチを楽しめるイベントとして企画されました。

ここでは、3つのコースのうち、MEET WEAVERS SHOW2日目にあたる8月23日に開催されたオープンファクトリーバスツアーの様子をレポートします。
これまで生地を織るハタヤさんを中心に回ることが多かった山梨ハタオリ産地のバスツアーですが、今回は染色工場や整経の現場にも切り込んだバスツアーになりました。織りだけではなく、織る前の準備工程や、生地を染める加工に触れ、ハタオリマチの中であらゆる種類の生地が生まれているヒミツに迫って行きましょう。バスは最初に、富士吉田市から車で15分ほどの隣町、山梨県西桂町に向かいます。

槙田商店の傘が生まれる人の手 

最初に訪問したのは、梨県西桂町で150年以上も生地を織る、槙田商店さんです。
槙田商店は大判のジャカード織機で服地や傘地を織るハタヤさん。オリジナルの高級傘を一貫して製造し、工場の直営店も構えています。
案内してくれるのは、槙田商店の槇田洋一さんです、よろしくお願いします!

槙田商店の槇田洋一さん(中央)

さっそく、傘地を織っている工場内で実際に織機を見せていただきました。工場内に入ると、高速で動く織機がいくつも目に飛び込んできます。ものすごいスピードで織機がカシャカシャと鳴り響いています。

先染め糸の産地だからこそできるジャカード生地

槙田商店が使用しているのはジャカード織機。ジャカード織機は、複雑な柄を染めではなく織ることで表現できる織機です。山梨ハタオリ産地が得意とする、織る前の糸を染める「先染め」の糸を使用することで、こんなにも細かい柄を綺麗に織ることができるのです。

ジャカードの傘地。傘用に裁断できるよう、織りの段階で三角形の線が入っています。

生地が織られていく瞬間は、みなさん思わずじーっと眺めてしまうほど。みるみる柄が完成していくので、ずっと見入ってしまいます。

織機のスピードを下げていただきました!ヨコ糸が横から来て、タテ糸の間をスーッと潜り、前に押し出され、生地になっていく瞬間を、超スローモーションで見ることができ、「スピードってこんなに調節できるの?!」と感動する私たち。

そして今回のバスツアーで初めて知ったのですが、ジャカード織機の「ジャカード」は織機そのものを指すのではないらしい。
ジャカード織機には、上まで伸びるオレンジ色の太い紐が何千本と付いています。この紐たちに複雑な動きをさせることで、タテ糸を上下に動かすことができます。 そしてこのオレンジの紐を動かしているのが、上の方から紐を吊り下げている大きな機械。なんとこの機械を「ジャカード」というそうです!つまりジャカードを外してしまえば、ドビー織機になるそうです。

ジャカード部分を見に、工場の二階部分へ。織機の動きを決める司令塔である機械が、オレンジの紐と繋がっています。

上から見た縦糸を動かす紐と織機は、こんな感じ。

オレンジの紐を動かすのに重要な部品を見せていただきました。これが折れると織機が止まってしまうため、折れたら素早く取り替えるそうです。

傘づくりは人の手で支えられている!

傘地を織る現場を見学したあとは、生地を傘に組み立てていく作業を見学します。まずは傘地の裁断から。
傘の1つ1つの面の大きさに合った三角形の木型を生地にあて、カットしていきます。スーッと一回で綺麗にカットできる職人技に感動!

裁断した生地を繋げていく作業も、ミシンで1つ1つ縫っていくそう。

縫い合わせた生地を骨組みに取り付け、骨組みと生地が動かないように縫っていきます。

柄をつける前の傘がたくさん並んでいます。

最後に傘の柄をつけていきます。この接着剤を柄をさす部分に塗り、上から細い紐をくくりつけ、柄をはめていくそうです。

接着剤が全体にいきわたるように紐をつけるのだとか。
職人さんは次々と紐をくるくる巻き、手でプチンと切っていきます。作業の速さは見ていて気持ちいいほど。

生地や傘の検品も1つ1つ手作業で行なっていました。

そして槙田商店の生地見本が置いてある部屋には、貴重な資料がいっぱい!

1800年代のヨーロッパの資料もあります。フォントも装丁も何から何までかっこいい資料です。槙田商店に勤めているテキスタイルデザイナーがアイデアに行き詰まった際、これらの資料からインスピレーションを得るのだとか。

工場を見学した後は、工場に併設されているショップへ。すぐ隣の工場で生地から作られているものがその場で購入できるなんて嬉しいですね。槙田商店の傘が気になる方は、ぜひ工場に足を運んでみてください!

武藤の極細天然繊維のストールは驚きの軽さ!

続いては、槙田商店から徒歩数分の場所にある織物工場、武藤株式会社にお邪魔します。武藤と言えば、極細天然繊維で織られたストール。触れると消えてしまうのではないかと思うほど柔らかく軽いストール生地は、一体どのように織られているのでしょうか。
今回工場を案内してくれるのは武藤亘亮さんです、よろしくお願いします!

武藤株式会社の武藤亘亮さん

早速織機のある工場へ。あれ、さきほど見学した槙田商店のジャカード織機とは少し違います。
これは、ドビー織機と呼ばれる織機。(ヨコ糸を織り込むシャトルに着目すると、シャトル織機とも)先ほどのジャカード織機よりもスピードがなく、「カタンカタン」とリズミカルに鳴り響いています。

武藤のストールは極細の天然繊維で作られるため、より慎重に織らないと糸が切れたり、傷がつきやすいのだとか。そのため、比較的ゆっくりとしたスピードで生地を織っているそう。時間はかかりますが、その分より肌触りの良い生地が生み出されているのです!

実際に織機を動かしていただきました。

機械にセットされている糸と、新しい糸を繋げていく作業です。一本の狂いもなく繋げていかなければいけない、大変緻密な作業です。

撚糸・整経から最終製品まで自社で行う

武藤はハタヤさんですが、糸に強度や収縮力を加える撚糸作業やタテ糸を整える「整経」も工場内で行なっています。
こちらは撚糸作業風景。下の大きなボビンがくるくると周り、糸をねじりながら上へ巻き取っていきます。撚る回数によって強度や収縮性が変わるので、織る生地によって柔軟に対応できることが、工場内にあるメリットなんですね!

こちらはタテ糸を整え、「おまき」に巻き取る「整経」の作業です。タテ糸がしっかりと並んでいないと生地は織れません。繊細な糸を整えながら巻き取る作業のため、集中力が必要だそう。

工場の外に出ると、目に飛び込んできた大量の玉ねぎ。山梨ハタオリ産地の織物工場は家の中にあることが多く、生活とハタオリが密接にある風景を度々目にします。

工場の離れには、織りあがった生地を仕上げる後加工の設備もあります!
3代目のお二人が工場に後加工の設備を導入し、糸から製品まで自社で作れるような体制を整えたそうです。

工場では武藤オリジナルのストールも販売しています。都内の百貨店よりも少しお手頃な価格で買うことができるのも、産地ならではですね!

先染め産地の後染め工場 丸幸産業

西桂町を出た私たちは、富士急行線の寿駅から歩いて10分ほどにある工場、丸幸産業さんにお邪魔しました。
丸幸産業は、生地や製品を染める「後染め」の工場です。山梨ハタオリ産地では糸を染める「先染め」の染色工場が多い印象ですが、生地や服などの製品を染める工場も揃っています!

丸幸産業株式会社代表取締役社長 堀内茂利さん

まずはじめに、丸幸産業で染めた製品を見せてもらうことに。丸幸産業では、天然繊維を染めることができるそうです。

私が今回のバスツアーで1番気になっていたのが、丸幸産業でした。なぜかと言うと…

このノスタルジックな工場です!
工場内に張り巡らされた細いパイプ、吊るされたジョウロ、色を調合するビーカーなどが工場好きをくすぐります。

バスツアーに搭乗したカメラマンのシャッター音も、確実に多い!

みなさん、オープンファクトリーだということを忘れ、工場の内装にただただ大興奮。
工具好きの参加者たちは、巨大なパイプカッターを見て大喜びしています。

今は使っていないそうですが、こちらは糸を染めるための機械です。先染めの産地だけあって、先染め用の設備もあるんですね。

これはシャツなどの製品を染めることができる染色機です。小さい機械の、製品1つでも染めることができ、一点ものが作れます!
灯1つとっても、なんだかタイムスリップしたような気持ちにさせてくれる工場なのです。

ボタンを押したら機械ごと動き出しそう。

タイダイ染めの大きな生地がぶら下げてありました。

工場には、不思議な機械も。
この長ーい筒状の機械は、生地を裏返しにするためのものだそう。長い生地を筒に通し、機械から出る風で一気に裏返すそうです。実際に生地を通して解説してくださいましたが、「今は使ってないんだよねー笑」と さん。

丸幸産業では、古着屋さんから依頼された服を染めることもできるそうです!
詳しくはこちら

HADACHU ORIMONO

バスツアーの最後に訪問したのは、山梨ハタオリ産地でファクトリーブランドを展開しているHADACHU ORIMONOの工場とショールームです。早速ショールームにお邪魔しました。お店に入ると、かわいいネクタイが目に飛び込んできます!

HADACHU ORIMONOでは、シルクネクタイやストールなどを製造・販売しています。
シルクネクタイというと、光沢があるネクタイをイメージしますが、HADACHU ORIMONOが作るシルクネクタイはとってもカジュアルライクで、シルクの糸だとは思えないほど。なぜシルクの糸でカジュアルな素材に仕上げることができるのか、詳しくはこちらをご覧ください!

透明なネクタイがあります。これはジャカードオーガンジーのネクタイ。普段ネクタイをつけないという参加者も、思わず「これは身に付けたい!」と言っていました。

ショップのすぐ隣の工場に入ると、紋紙が並べられています。紋紙はジャカード織機でタテ糸の上下運動を決める指示書のようなものです。一束で一枚の生地柄なので、種類の多さに驚きです。

コンパクトな産地で多様な生地が生まれる「山梨ハタオリ産地」

午後から4つの工場やショップを回ったMEET WEAVERS SHOWバスツアー、いかがだったでしょうか。
山梨ハタオリ産地は工場同士が比較的近くにあり、それぞれの工場が異なる取り組みをしているのが特徴です。コンパクトな産地の中に、様々な素材を扱うハタヤさんや撚糸・整経などの設備、先染め・後染めの工場が揃っていることが、多種多様な生地や製品が生まれる鍵になっているんですね!


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