2018.09.14

【1日目】産地とデザイナーが繋がる!織り×加工のMEET WEAVERS SHOWレポート


8月22日・23日、MEET WEAVERS SHOWが開催されました

生地をつくりたい人と、ハタオリマチの工場が繋がることができるWEBサイト「MEET WEAVERS」。そのオープン記念イベントとして「MEET WEAVERS SHOW」が8月22日・23日、ハタオリマチで開催されました。

MEET WEAVERS SHOWは、織物工場のアーカイブが一挙に見れる「産地生地展」と、ファクトリーショップも兼ねた織物会社の「オープンファクトリー」の2つのShowを軸に、3つのコースでハタオリマチを楽しめるイベントとして企画されました。

今回私は、ファッションブランド限定の2日間にわたるバスツアーの様子をたっぷり2回に分けてレポートします!このコースでは、「産地生地展」と「オープンファクトリー」の他に、デザイナーさんが生地を持ち寄り、後加工工場で生地の加工ができる実験や、ハタオリマチを散策するツアーと、盛りだくさんの内容となりました。
2日間のMEET WEAVERS SHOWを通じ、デザイナーさんと織物工場がどのように繋がることができたのでしょうか。近そうで遠かったファッションブランドと織物産地の距離がグッと縮まり、新しい生地が生まれる可能性に溢れた時間を見て行きましょう! 

山梨県産業技術センター富士技術支援センターの五十嵐哲也さん

ハタオリマチで開催されるバスツアーの出発場所は、いつも新宿です。MEET WEAVERS SHOWの出発も、もちろん新宿。それは、ハタオリマチである山梨県富士吉田市・西桂町が新宿から高速バスで90分で行けるから。富士山の麓にありながら、東京のブランドさんが行きやすい産地であることも、ハタオリマチの魅力の1つなのです。

バスに乗っているのは、主に「CREATORS TOKYO」所属ブランドのデザイナーのみなさん。CREATORS TOKYOには、Tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門を通過した実力派ファッションブランドのクリエイターが所属しています。
今回のMEET WEAVERS SHOWでは、新しいファッションを生み出すために活躍する若手デザイナーさんを主賓としてお招きしました。

さて、新宿から案内をしてくださるのは、山梨県産業技術センター富士技術支援センター(通称:シケンジョ)の五十嵐哲也さんです。バスの中では、五十嵐さんが制作したMEET WEAVERS SHOWオフィシャルガイドブックに沿って、産地や織物に関するレクチャーが行われました。とってもわかりやすい解説で、織物の予習をしながらハタオリマチに向かいます。

アーカイブが集結!「産地生地展」でハタオリマチの多様さを発見

富士吉田に着いた私たちは、早速織物工場を見学します。
仮織をした生地の上に絵付けをし、横糸を一度ほぐしてもう一度織ることで、柄が滲んだように見える超絶技法「ほぐし織」を得意とする舟久保織物さんにお邪魔しました!

実際にほぐし織をしている織機と、捺染台を見せていただきました。
これは柄を入れた状態で、横糸を抜いたもの。この状態から、織っていくそうです!

舟久保織物を見学した後は、午後の産地展へ向けた腹ごしらえです。富士吉田のソウルフード「吉田のうどん」が食べられる「天下GO!麺」でボリュームタップリのうどんを食べ、産地生地展に向かいます。

繊維の研究をしている山梨県産業技術センター富士技術支援センター(シケンジョ)でハタオリマチの織物工場のアーカイブが一挙に見れる「産地生地展」、開催です!シケンジョに入ると、廊下に生地が展示してあったり、ドレスが置いてあったり。

織り×加工で魅せる生地の「before after」

廊下にずらっと並べられた生地の数々。MEET WEAVERS SHOWのテーマでもある「before after」のヒミツがここにあります!
今回「織り×加工」と称し、整理加工工場である山梨県織物整理(株)で織った様々な素材の生地にシワ加工・塩縮加工・ニードルパンチ加工をしてみました。加工前の生地(brfore)と加工後の生地(after)をそれぞれ並べ、比較することができます。

一番手前にある白いカットジャカードの生地は、ハタオリマチのブライダルテキスタイルメーカー、宮下織物で織られたもの。これを工場でシワ加工したものが、後ろにある生地です。プリーツが施され、スカートになったところが容易に想像できるほど表情が変わっています!
before after生地の実験の様子は、こちらから。

そして廊下で存在感を放っていたのは、宮下織物の、アゲハ蝶をジャカードで表現したドレス!プリントではなく、織りで蝶を描いています。ハタオリマチは先染めの細い糸を使い、織りの技術で柄を表現することを得意とする産地なので、細かい赤や青の部分も表現できるそうです!

30メートルほどの廊下を通るだけで生地の豊富さに圧倒されていたわけですが、メイン会場である展示会場に入ると

ハタオリマチにある18もの織物工場が集結し、1つの部屋に所狭しと生地が並んでいます!シケンジョの五十嵐さんによる、ハタオリマチの歴史や取り組みを紐解く講演の後、早速デザイナーさんと工場の交流、商談に入りました。

天然繊維から化学繊維まで、幅広い素材を扱っている織物工場が多いのも、ハタオリマチの特徴の1つ。素材が違えば、風合いや雰囲気も多種多様に渡ります。生地を見て触り、インスピレーションを受け、コレクションに使えそうな生地を発見していくデザイナーさんが多く見受けられました!

富士吉田で地域おこし協力隊として活動をしている原田陽子さんが産地生地展の間、いつもはハタオリマチ案内所でやっている「KIJIYA」(山梨機織り産地で織られた生地の切り売り)の出張販売を行なってくれました!

富士吉田の地域おこし協力隊、流しの洋裁人として活動している原田陽子さん

普段、都内の展示会に足を運び、生地を探すことが多いデザイナーさんも、産地で多くの生地見本を見ながら工場の方とお話できる機会があるのは、ありがたいそうです。デザイナーがイメージしているものを、直接工場の方に伝えられるのも、産地生地展の良さですね!

約3時間行われた産地生地展ですが、デザイナーさんと工場の方たちの話は尽きません。

「シケンジョ」って何をするところ?

「山梨県産業技術センター富士技術支援センター」。MEET WEAVERS SHOWのメイン会場であるこの場所は、「シケンジョ」と呼ばれています。シケンジョは、織り組織や染めなど、繊維全般についての研究開発や試験など、産地企業のさまざまな技術支援をする機関です。産地生地展でたっぷりと生地に触れた後は、ハタオリマチの繊維産業促進に欠かせない「シケンジョ」を見学します!

バナジウムが繊維にもたらす効果とは

こちの実験室では、バナジウムを含む染液で繊維を染める実験をしているそうです。バナジウムといえば、バナジウム天然水。富士山から湧き出る水は、バナジウムを多く含んでいることが知られています。このバナジウムをある濃度まで高めた染液で繊維を染めると、なんと!

左バナジウムを含んだ染液で染めたTシャツとニット帽、右がバナジウムを含んでいない染料で染めたTシャツとニット帽

赤外線に反応して温度が上がりやすく、また冷めにくくなるそうです!

サーモグラフィーカメラで見てみると、左のTシャツとニット帽の方が、右よりも温度が高くなっています。実際に触ってみると、左のほうがあったかい!

左のTシャツとニット帽の方が温度が高い

富士山の麓にある産地にふさわしい研究開発ですね。

まるで本物の写真!織物でここまで表現できます

シケンジョは繊維の研究開発をしている機関だけあって、織機や染色機が完備されています。シケンジョにある大きなジャカード織機を見てみると…「え、何これ?!」

写真の画像がそのままモノクロの生地になっています!シケンジョの研究開発の結果、画像を緻密に、鮮明に織で表現できるようになったんだとか。遠くから見たら本物の白黒写真にしか見えないんですよ、これ。ヨコ糸をどのように動かせば、こんな画像が連なった生地ができるのでしょうね…シケンジョの取り組み、すごいです。

シケンジョの五十嵐さんのお話に、一同「おお〜」と感嘆の声が広がっています

昔のファッション情報誌?!

シケンジョの上にある資料室には、昔の生地見本が掲載された本がたくさんあります。

一冊に100種類ほど着物用の生地見本が掲載されているのですが、なんとそれぞれ解説つき!「この生地は18歳の女性に良い」などといったアドバイスが事細かに記載されています。流行や年齢に合わせた情報が載っているため、まさに昔のファッション情報誌みたいです。

現代では表現するのが難しい複雑な柄の生地も多くあり、デザイナーさんが興奮気味です。

ゆったりとした織機の音が心地よいTENJIN factory

1日目の締めくくりは、シケンジョから徒歩で10分程にあるTENJIN factory(テンジンファクトリー)で工場見学をしました。TENJIN factoryはリネン製品を製造・販売するファクトリーブランド。工場の外に「かったんかったん」と響くシャトル織機の音に癒されます。案内してくださるのは、TENJIN factoryの小林さんです、よろしくお願いします!

TENJIN factoryの小林さん

TENJIN factoryが使っている織機は、「シャトル織機」と呼ばれる古い織機です。シャトル織機は、ヨコ糸を内蔵した「シャトル」を左右に動かすことによって生地を織る織機。ヨコ糸が繋がっているので、織物の「耳」ができ、ビンテージ風の生地ができるのが特徴です。

現代の高速織機と違い、比較的ゆっくりとしたスピードで生地を織るため、大量生産はできないそうですが、ふわっとした風合いの生地ができるそうです!織機をみると、見た目もレトロです。
バスツアーの予習や、シケンジョの見学をした後に実際の現場を見られるため、まるで社会科見学をしているようなワクワクや納得感でハタヤさんを見学することができました。

小林さんは、もともとハタオリマチの得意分野だったシルクのネクタイを織っていたそうですが、ネクタイの需要低下に伴い、日本では珍しいリネンの生地を作るようになったのだとか。リネンのタオルは薄くてパリッとしていますが、吸水性・速乾性に優れ、使うたびに生地が柔らかくなっていくのが特徴です。TENJIN factoryでは、「孫の代まで大事に使いたい」と思えるようなリネンのタオルなどを製造・販売しているそうです!工場の横にあるショップで製品を購入できるので、オープンファクトリーの際にはぜひ足を運んでみてください。

生活と織物がいっしょにあるハタオリマチ

ハタオリマチの織物工場は、家族経営・小ロットの工場が多く、家のすぐ隣で織機が動いていることがほとんどです。生活とハタオリが近くにあるため、小回りがきき、要望に柔軟に対応できるのが魅力の1つ。

一方で、活動拠点が東京のことが多いデザイナーさんにとって、地方に多い産地は物理的に遠い存在であり、コンタクトを取りづらいことも確か。今回のイベントはそんな壁を無くし、テキスタイルの作り手と服の作り手を結びます。

今回のMEET WEAVERS SHOW1日目を通じ、出来上がった生地だけではなく、実際に織っている工場を見たことで、「暮らしの中に織物があるハタオリマチにインスピレーションを受けた」というデザイナーさんの声を頂きました。織物工場とデザイナーさんがそれぞれの考えを直接ぶつけ合い、お互いにインスピレーションを受けながら、新しい生地を作っていく未来が見えた気がします!

吉田の飲屋街で交流を深める

ハタ印総合ディレクターの高須賀活良さん

中身の濃かったMEET WEAVERS SHOW1日目も、最後の交流会に突入です。
MEET WEAVERS SHOWの主催であるハタオリマチのハタ印総合ディレクターの高須賀活良さんの挨拶で、宴のスタートです。展示会とは打って変わり、デザイナーさんと工場の方たちがざっくばらんに交流しています!

ハタオリマチである富士吉田市には、ディープな飲み屋さんがたくさんあります。もちろん、一次会で終わるはずもなく、二次会三次会と続きました。
さて、明日は朝8時からハタオリマチ街散策があります。
起きられるのか?!


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運営 ハタオリマチのハタ印プロジェクト(事務局:富士吉田市産業観光部商工振興課)
住所 山梨県富士吉田市下吉田6-1-1 電話 0555-22-1111(代表)